AI導入された場合「雇用に不安感じる」者が37%

(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)は、「イノベーションへの対応状況調査」(企業調査)及び「イノベーションへの対応に向けた働き方のあり方等に関する調査」(労働者調査)の結果をまとめた。調査は、常用労働者100人以上の企業1万2000社とそこで働く正社員9万6000人(1社8人)を対象に、今年1月から2月にかけて実施しており、有効回収した2505件(企業調査)・1万2839件(労働者調査)について集計している(有効回収率:企業調査20.9%、労働者調査13.4%)。

この調査は、①テレワーク、②テレビ会議、③AI(人工知能)、④副業──を共通テーマに実施している。調査結果の中から、AIの状況についてみると、AIの職場への導入状況は(企業調査)、「すでに導入済み」とする企業が0.8%、「現在、導入を検討中」が3.8%、「現時点で導入予定なし」が94.9%となっている。また、今後、AIが導入された場合の従業員数の増減については(企業調査)、「変わらない」が51.9%と過半数を占め、ほかでは、「やや減少する」34.5%、「減少する」7.5%、「やや増加する」1.8%、「増加する」0.9%となった。

AIが導入された場合のAIによる業務の代替に対する認識をみると(労働者調査)、「仕事のほとんどが代替可能だと思う」は5.4%と少ないものの、「一部代替が可能だと思う」が61.7%となっており、「代替はほとんどない」は30.5%。また、AIが職場に導入された場合の雇用不安感については(労働者調査)、「雇用不安を感じる」10.3%、「どちらかといえば雇用不安を感じる」26.7%、「どちらかといえば雇用不安はない」42.1%、「全く雇用不安はない」20.2%となっている。

次に、副業に関してみると、副業の許可状況は(企業調査)、「禁止している」企業が83.4%、「容認している」が16.1%、また、「推進している」は0.1%でごくわずかとなっている。副業を容認・推進している企業におけるその理由をみると(複数回答)、「特に理由はない」が24.3%と最も多く、ほかでは、「賃金低下の補助」20.1%、「優秀な人材の確保・定着のため」18.4%、「副業にかかわるルールがなく黙認しているだけ」17.9%、「社会貢献のため」14.5%、「従業員の視野拡大・能力開発のため」13.8%、「副業の経験を本業に活かしてほしいため」11.3%などとなった。

一方、副業を禁止している企業における理由としては(複数回答)、「業務に専念してもらいたい」が81.9%と最も多く、次いで、「疲労による業務効率の低下防止」63.2%、「業務上の秘密保持」37.7%、「企業秩序を乱すから」29.1%、「残業・休日出勤ができなくなる」14.0%、「人材の流出防止」9.8%の順。

また、今後、ICT技術(情報通信技術)を利用した働き方(テレワーク)が進んだ場合の従業員の副業の推進に関しては(企業調査)、「副業を推進したい」は1.3%にとどまっており、「どちらともいえない」が41.9%、「副業は推進しない」が54.5%となっている。

労働者の副業の状況をみると(労働者調査)、副業をしている者の割合は1.9%、男女別では男性2.2%、女性1.4%となっている。副業をしていない者の副業の意向をみると、「副業をしたい」32.1%、「副業をしたくない」65.0%となっており、「副業をしたい」とする割合を男女別にみると、男性29.8%、女性35.1%となっており、女性の方が高い。