65歳以降就業率は以前に転職をした者の方が高い

(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事)は、「中高年齢者の転職・再就職調査」の結果をまとめた。調査は、民間調査機関の郵送調査協力モニターの中から選定した45~74歳の計6000人を対象に、2015年1月から2月にかけて実施しており、有効回収した5357人について集計している(有効回収率89.3%)。

調査結果をみると、転職経験者の割合は男性62.4%、女性63.7%で、平均転職回数は男性が2.4回、女性が2.7回となっている。転職経験者の転職理由をみると(複数回答)、男性は、「職場の人間関係が好ましくなかった」、「会社の将来が不安だった」、「給与等収入が少なかった」、「倒産・整理解雇」が各10~15%で上位を占め多様性がみられるが、女性は、「家庭の事情(介護等)」が約3割で突出して高い。

次に、転職経験ごとの65歳以上の就業者の状況をみると、64歳以下での転職経験のある65歳以上の者の就業率は男性40.5%、女性31.5%となっており、同年代の64歳以下での転職経験がない者の就業率(男性26.5%、女性19.2%)より高くなっている。また、自営業を除く雇用者の比率は男性28.0%、女性26.8%となっており、同年代の64歳以下での転職経験がない者の雇用率(男性11.0%、女性14.4%)より高い。

今後の転職で希望する雇用形態を年齢階級別にみると、男性は、「45~59歳」では「正社員」が63.0%と最も高く、2番目が「パート・アルバイト」で9.9%。これに対し、60歳以上で「正社員」を希望する者の割合は、「60~64歳」では15.4%、「65~69歳」では7.8%、「70歳以上」では10.8%と低くなっており、逆に、「パート・アルバイト」を希望する者の割合が、「60~64歳」では34.8%、「65~69歳」では39.4%、「70歳以上」では27.7%と高い。

一方、女性は、どの年齢階級も「パート・アルバイト」を希望する者の割合が最も高く、「45~59歳」60.9%、「60~64歳」74.9%、「65~69歳」62.9%、「70歳以上」49.2%となった。これに対して、「正社員」を希望する者の割合は、「45~59歳」23.2%、「60~64歳」4.0%、「65~69歳」6.1%、「70歳以上」8.6%となっている。