47都道府県で22円から26円の引上げ

平成29年度の地域別最低賃金の改定審議が終了し、47都道府県で22円から26円の引上げが行われた。引上げ額をみると、最も高いのは埼玉、千葉、東京、大阪など6都府県の26円、次いで、茨城、新潟、京都など12府県が25円となっており、全国加重平均で25円の引上げとなった。全国加重平均額25円の引上げは、最低賃金額が時間額のみで示されるようになった平成14年度以降、昨年度と並んで最大の引上げ。改定後の最低賃金の最高額は東京の958円、最低額は高知、佐賀など8県の737円となっている(2ページに一覧表掲載)。

 最低賃金は、法(最低賃金法)によって、労働者を使用する場合の賃金の最低額を保障するもの。これは、すべての使用者と労働者に適用される。最低賃金には、地域別最低賃金(都道府県単位)と特定最低賃金の2種類がある。

地域別最低賃金の額の改定に当たっては、引上げの目安を中央最低賃金審議会が各都道府県の地方最低賃金審議会に示す方式がとられている。今年度は、6月27日に厚生労働省が中央最低賃金審議会に対して、29年度の地域別最低賃金改定の目安を諮問し、同審議会は7月27日、それに対する答申を行った。答申内容は、各都道府県のランクごとの引上げ額をAランク26円、Bランク25円、Cランク24円、Dランク22円とするというもの(本誌第1935号参照)。

各都道府県の地方最低賃金審議会は、この答申内容や地域の賃金実態などを踏まえ最低賃金改定の審議を行い、8月17日までに全都道府県で改定額の答申が出揃った。

それによると、引上げ額は22円から26円となっており、全国加重平均では25円(28年度25円)となった。

改定後の地域別最低賃金額をみると、最も高いのは東京の958円、次いで、神奈川956円、大阪909円、埼玉と愛知が871円の順となっている。逆に、最も低いのは高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の737円となった(全国加重平均額は848円)。

引上げ額では、最も高いのは埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪が26円、次いで、茨城、栃木、新潟、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島が25円となっており、ほかでは、北海道、宮城、群馬など13道県が24円、鳥取、宮崎、沖縄が23円、青森、岩手、秋田など13県が22円となっている。また、引上げ額が目安を上回ったのは新潟、鳥取、宮崎、沖縄の4県(いずれも1円増)で、他の43都道府県は目安と同額の引上げとなった。

なお、改定後の最低賃金は、各都道府県労働局での関係労使からの異議申立に関する手続を経たうえで、都道府県労働局長の決定により、9月30日から10月中旬にかけて順次発効する予定。発効予定日が最も早いのは大阪の9月30日、最も遅いのは山梨と高知の10月13日となっている。