30年4月から民間企業の法定雇用率は2.3%に
厚生労働省は5月30日、民間企業の障害者雇用率を2.3%(当分の間は2.2%)とすることを主な内容とした「障害者雇用率(案)」(政令改正)を労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)に諮問した。諮問を受けた同審議会は、これを同審議会障害者雇用分科会(分科会長・阿部正浩中央大学経済学部教授)で検討した結果、厚生労働省案を「おおむね妥当と認める」とする答申を取りまとめ、同日、塩崎厚労相に提出した。
これは、平成25年に改正された障害者雇用促進法により、精神障害者を障害者雇用率制度における雇用義務の対象に追加したこと(30年4月1日施行)を踏まえたもの。
同法では、対象障害者である労働者の総数を算定基礎とした障害者雇用率(法定雇用率)を設定し、事業主に対し、その雇用する対象障害者である労働者数を、その雇用労働者数に法定雇用率を乗じて得た数以上にするよう義務づけている。法定雇用率は、労働者の総数に対する対象障害者の総数の割合を基準として設定し、少なくとも5年ごとに見直すことになっている。
前回の見直しでは、法定雇用率の設定基準となる数値により計算した率が2.072%となり、平成25年4月から法定雇用率は2.0%となった(一般民間企業)。そして、法定雇用率の算定基礎に精神障害者を追加する改正法の施行後の法定雇用率は、その設定基準となる数値に精神障害者である労働者・失業者を含めて計算した結果、2.421%となった。しかし、改正法附則の経過措置により、平成30年4月から5年間の法定雇用率は、障害者の雇用状況その他の事情を勘案して定めることになっていることから、今般の法定雇用率改正では2.3%としている。
なお、経過措置として、当分の間は2.2%とし、3年を経過するより前に2.3%とする激変緩和措置がとられることとなった。