2020年までに勤務間休息制度の導入率10%目指す
厚生労働省は5月31日、第12回「過労死等防止対策推進協議会」(会長・岩村正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催し、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の改定案を示した。改定案は、過労死等防止対策の数値目標を新たに柱の1つとしている点が特徴。
「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下「大綱」)は、過労死等防止対策推進法に基づき定められている(平成27年
7月24日閣議決定)。大綱には、おおむね3年を目途に見直しを行うとする規定が置かれており、また、大綱の変更に当たっては、過労死等防止対策推進協議会の意見を聴くことが法に定められている。
改定案は、過労死等防止対策の数値目標として、①労働時間、②勤務間インターバル制度、③年次有給休暇の取得率、④メンタルヘルス対策、⑤仕事上の不安、悩み、ストレスの相談先、⑥ストレスチェック結果の集団分析──の6項目を掲げている。
前回の協議会(4月24日)で示された改定案の素案では明記されなかった勤務間インターバル制度に関する数値目標については、2020年までに、勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を20%未満とすること及び勤務間インターバル制度(終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を設けることについて就業規則または労使協定等で定めているものに限る)を導入している企業割合を10%以上とするとしている(他の5項目の数値目標は本誌第1960号参照)。
また、国が取り組む重点対策として、法に規定されている①調査研究等、②啓発、③相談体制の整備等、④民間団体の活動に対する支援──に加え、労働行政機関等における対策を明記している。
具体的には、長時間労働の削減に向けた取組の徹底、過重労働による健康障害の防止対策、メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策を挙げている。
その中で、長時間労働の削減に向けた取組みとして、36協定については、労働基準監督署に届け出られた際の助言、指導の強化などにより労働者に周知させることを徹底するとともに、月45時間を超える時間外労働や休日労働が可能である場合でも、協定における特別延長時間や実際の時間外・休日労働時間の縮減について指導するとしている。
また、過重労働による健康障害の防止対策に関しては、裁量労働制対象者や管理監督者についても、労働安全衛生法令に基づき、医師による面接指導等必要な措置を講じなければならないこと等について指導を行うとしている。
さらに、メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策では、傘下事業場において、おおむね3年程度の期間に精神障害に関する労災支給決定が2件以上行われた場合は、企業の本社事業場に対し、メンタルヘルス対策に係る指導を実施するとしている。
なお、政府は、今月中にも大綱の改定を閣議決定する方針。