IT人材の強化に向け専門実践教育訓練を拡充
厚生労働省は、平成28年度から32年度までの5年間を計画期間とした「職業能力開発基本計画」(第10次)の案をまとめた。同計画は、職業能力開発促進法に基づき、職業能力の開発の実施目標に関する事項、職業能力の開発について講じようとする施策の基本となるべき事項などを定めるもの。
第10次計画(案)では、職業能力開発の方向性として、①生産性向上に向けた人材育成の強化、②「全員参加の社会の実現加速」に向けた、女性、若者、中高年齢者、障害者等の個々の特性やニーズに応じた職業能力底上げの推進──を前面に打ち出しているのが特徴。
計画が掲げる基本施策の主な内容をみると、まず、生産性向上に向けた人材育成の強化では、生産性向上に資するIT人材育成の強化・加速化を挙げている。具体的には、労働者の自発的なIT技術の習得を支援するために、専門実践教育訓練給付制度等においてIT分野の講座拡充に向けた検討を行う。また、企業内において高度なIT人材を育成するために、キャリア形成促進助成金等により、IT業界と企業が連携した雇用型訓練を通じた実践的な人材育成を推進するとしている。さらに、公共職業訓練(離職者訓練)では、IT分野に関する訓練の弾力的な運用や効果的な訓練コースの設定に努めることとしている。
次に、労働者の主体的な能力開発促進に向けた取組みが重要であるとして、国家資格化されたキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングや、ジョブ・カード、教育訓練給付制度等の活用を挙げている。
具体的には、キャリアコンサルタントについて、継続的な質の保証を図りつつ計画的に養成を進めるとともに、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを推進する。また、職業生活の節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設定するセルフ・キャリアドックの導入を推進するため、導入マニュアルを作成し、導入・実施する事業主を支援する。
女性の活躍促進に向けた職業能力の開発では、子育て中の女性の再就職が進むよう、公的職業訓練において、育児等と両立しやすい短時間の訓練コースの設定や訓練受講の際の託児支援サービスの提供などを推進するとしている。
若者の職業能力開発では、学校等関係機関と連携し、児童・生徒等への職場体験等の支援とともに、ものづくり体験や技能講習会、「ものづくりマイスター」による実技指導等の実施を推進するとしている。また、日本版デュアルシステム、雇用型訓練等による若者向けの訓練の推進を図り、加えて、学卒者向けの公共職業訓練について、更なる就職率の向上に向け取組みの充実を図ることとしている。