7人以上時給30円引上げで最高100万円
厚生労働省は、「業務改善助成金」の助成額の枠組みを平成30年度大幅に改める。同助成金は、中小企業が生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げた場合に、かかった費用の一部を助成するもの。これまでは、引上げ額の区分に応じ、対象事業場の地域制限や助成上限額が設けられていたが、30年度からは、「事業場内で最も低い賃金が1000円未満の事業場が、30円以上引き上げた場合」に一本化する。また、上限は引き上げる労働者数に応じ、最高は7人以上で100万円となる。
同助成金は、地域別最低賃金の引上げによって大きな影響を受ける中小企業の事業主を対象として、平成23年度に創設された。対象となるのは、常時使用する労働者数が企業全体で300人以下(卸売業、サービス業は100人以下、小売業は50人以下)の事業場となっている(他に資本金額の要件がある)。
助成金を受けるためには、就業規則などの規定による賃金引上計画を作成し、生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げることが必要。29年度までは、引上げ額の区分(30円以上、40円以上、60円以上、90円以上、120円以上の5区分。額は時間給または時間換算額)により、対象事業場に一定の地域制限があり、また、引上げ額の区分ごとに助成の上限額が設けられていた(平成29年度補正予算成立後は、引上げ額の区分による地域制限を撤廃)。
そして、30年度は、引上げ額の区分・地域制限をなくし、引上げ額は「30円以上」、対象事業場は「事業場内で最も低い賃金が1000円未満の事業場」に一本化する。
また、助成率はこれまで通り設備投資などにかかった費用の10分の7(常時使用する労働者数が企業全体で30人以下の事業場は4分の3)となっている。
ただし、一定の生産性要件を満たした場合には、助成率が4分の3(常時使用する労働者数が企業全体で30人以下の事業場は5分の4)に加算される。具体的には、助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較して、6%以上または1%以上(6%未満)上昇している場合が対象となる。なお、伸び率が「1%以上(6%未満)」の場合には、金融機関から一定の事業評価を得ている必要がある。
さらに、30年度は、賃金を引き上げる労働者数に応じて助成の上限額を上乗せする。1~3人では50万円、4~6人では70万円、7人以上では100万円となっている。