4月から全労基署で特別チーム編成し対応
厚生労働省は、働き方改革の推進に向け、今年4月から全国すべての労働基準監督署において、労働時間に関する法制度の周知及び指導を集中的に行う特別チームを編成して取り組むことを決めた。特別チームは、主として中小規模の事業場を対象に、長時間労働の削減を促すためのきめ細かな相談・支援などを行うほか、長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害の防止を重点とした監督指導を行う。また、併せて、全労基署に「労働時間相談・支援コーナー」を設置して、36協定の適正化に係る窓口指導を実施する。
同省では、長時間労働を是正する取組みとして、過労死等に係る労災請求が行われた事業場や、時間外・休日労働が月80時間を超えていると考えられる事業場等に対する監督指導を実施するなどしている。
働き方改革を通じて労働者の労働条件の確保・改善を図っていくためには、労働時間に関する法制度の周知と法令遵守の指導が必要となっており、とりわけ、法令に関する知識や労務管理体制が必ずしも十分でないと考えられる中小規模の事業場にはその必要性が大きい。
同省が実施した「平成25年度労働時間等総合実態調査」の結果によれば、36協定を締結していない事業場が締結していない理由を「36協定の存在を知らなかった」とする割合を事業場規模別にみると、301人以上が3.9%、101~300人が10.8%、31~100人が19.9%、1~30人が35.5%となっている。また、時間外労働に対する割増賃金の定めがなく、割増賃金を支払っていない事業場の割合は、31人以上の規模では0.3%以下であるのに対し、1~30人では13.7%となっている。
このため、平成30年4月から、すべての労働基準監督署において、「労働時間改善指導・援助チーム」を編成するとともに、「労働時間相談・支援コーナー」を設置する。「労働時間改善指導・援助チーム」は、「労働時間相談・支援班」と「調査・指導班」の2班体制を敷く。
「労働時間相談・支援班」は、中小事業場での長時間労働削減に向けた取組みの実施を促進するためのきめ細かな相談・支援などを行う。「調査・支援班」は、長時間労働の是正に係るこれまでの取組みを踏まえ、その強化を図るため、長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害の防止を重点とした監督指導を行う。
また、「労働時間相談・支援コーナー」では、主に、中小事業場に対して、労働時間に関する法制度の周知、長時間労働の削減のための助言・支援を行うほか、36協定の適正化に係る窓口指導を実施することとしている。
なお、同コーナーにおいては、相談者の具体的な取組みにつながるよう、懇切・丁寧な対応を徹底することになっている。