3年間派遣後は派遣先で「正社員」5割超

 厚生労働省は、昨年の労働者派遣法改正で新設された規制等についての派遣元事業所の対応状況をまとめた。それによると、派遣元の義務となった派遣期間が3年に達する有期雇用派遣労働者に対する派遣終了後の雇用安定措置として、派遣先への直接雇用依頼を実施した場合、派遣先で正社員として直接雇用されたとする事業所割合は53.3%となっている。また、同じく、派遣期間が1年以上3年未満の派遣労働者の場合(努力義務)では、派遣先で正社員として直接雇用されたとする事業所割合は39.7%となった。
 これは、同省が今年2月から4月にかけて実施した調査の結果、明らかになったもの(調査対象事業所数1112事業所)。調査結果によると、派遣労働者のキャリアアップの推進に関して、改正法施行(平成27年9月30日)後に段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めたかについては、「作成済み」30.0%、「作成中」62.5%、「計画の作成義務を知らなかった」5.2%、「作成する予定がない」2.2%となっている。

 段階的かつ体系的な教育訓練の実施状況をみると(複数選択可)、「施行後に雇用した派遣労働者に教育訓練を実施(又は計画に基づき実施予定)」36.0%、「施行前から雇用している派遣労働者に教育訓練を実施(又は計画に基づき実施予定)」40.2%、「対応を検討中」42.6%、「特段対応する予定はない」2.5%などとなった。

 なお、教育訓練計画を「作成中」としている事業所の作成できていない理由としては、「教育訓練の内容を準備している途中である」63.9%、「教育訓練の内容は決まっているが、計画の作成まで至っていない」25.9%、「教育訓練の内容は決まっているが、制度の理解が不十分で作成で不明点がある」6.9%などとなっている。

 希望者に対するキャリアコンサルティングについて、どのような窓口を置いているかをみると(複数選択可)、「営業担当者」が60.0%と最も多く、次いで、「社内のキャリアコンサルタント」37.9%、「コーディネーター」19.5%、「社外のキャリアコンサルタント」5.0%の順。キャリアコンサルティングの実施状況は、「派遣労働者からの希望がなく未実施」76.7%、「派遣労働者からの希望があり実施」21.3%、「派遣労働者からの希望があったが、社内での体制が整っておらず未実施」2.0%。

 また、派遣期間が一定期間に達する有期雇用派遣労働者について、派遣終了後の雇用を継続させるために派遣元に義務づけられた「雇用安定措置」(派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供など)に関して、派遣先への直接雇用を依頼した場合の結果をみると(複数選択可)、同一の組織単位に継続して3年間派遣見込みがある派遣労働者(義務化)がいる派遣元事業所では、「派遣先で正社員として直接雇用」53.3%、「派遣先で多様な正社員として直接雇用」13.3%、「派遣先で非正規雇用労働者として直接雇用」20.0%、「直接雇用されなかったので他の措置を講じた」13.3%などとなっている。

 同じく、同一の組織単位に継続して1年以上3年未満派遣見込みがある派遣労働者(努力義務)がいる派遣元事業所では、「派遣先で正社員として直接雇用」39.7%、「派遣先で多様な正社員として直接雇用」5.9%、「派遣先で非正規雇用労働者として直接雇用」42.6%、「直接雇用されなかったので他の措置を講じた」19.1%などとなっている。

 均衡待遇の推進として、派遣先に配慮義務が課された賃金情報の提供や教育訓練の実施に関しては、同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金情報の提供を派遣先に求めたことがあるか、また、その結果については、「求めたことがあり、賃金情報を提供した」27.6%、「求めたことがあるが、賃金情報を提供しなかった」8.8%、「求めたことがない」63.6%となった。

 教育訓練実施の派遣先への求めについては、「求めたことがあり、派遣先による教育訓練が行われた(又は行われる予定)」44.8%、「求めたことがあるが、派遣先による教育訓練は行われなかった」3.5%、「求めたことがない」51.7%となっている。