3ヵ月以下の短期の訓練コース設定を
求職者支援訓練の今後のあり方について検討していた労働政策審議会職業能力開発分科会(分科会長・小杉礼子(独)労働政策研究・研修機構特任フェロー)が報告書をまとめた。報告書は、訓練カリキュラムについて、現行の訓練期間(3ヵ月以上6ヵ月以下)より短い期間で職業スキルの修得できる訓練コースを設定すべきとし、具体例として、介護職員初任者研修と建設機械運転を挙げている。また、育児休業中の女性向けに、託児サービス支援付き訓練コースや短時間の訓練コースの設定を推進すべきとしている。
- 求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者に対するセーフティネットとして、平成23年10月に創設された(法による恒久制度)。訓練期間中は受講者に給付金(1ヵ月10万円及び交通費)が支給され、ハローワークが中心となって早期の就職を支援している。
制度発足からの受講者数は約29万人(平成27年6月23日時点)を数えるが、最近は雇用情勢の改善の中で、受講者数は24年度9万8541人、25年度7万4933人、26年度5万5002人と減少傾向にある。さらに、育児等でキャリアを中断した女性への支援や人手不足職種への対応の観点から、制度のさらなる活用促進が求められている。
これらを踏まえて同分科会では、今後の求職者支援訓練について、①訓練カリキュラムのあり方、②女性の活躍促進等、③人手不足分野における訓練コースの設定、④訓練実施機関の確保──を論点に昨年9月から検討を行い、報告書をまとめている。
報告書は、まず、訓練カリキュラムのあり方に関して、「雇用情勢が改善する中で、多くの求職者は早期再就職を希望していることから、短期間で職業スキルの修得できる訓練コースを設定すべきである」としている。そして、具体例として、介護職員初任者研修と建設機械運転を挙げている。
また、職業経験の少ない者や非正規での離転職を繰り返している者を対象に、社会人スキル(職業意識、ビジネスマナー等)と職業スキルを組み合わせた訓練内容を検討すべきと指摘している。
女性の活躍促進等に関しては、育児休業中の女性等が訓練を受講しやすくなるよう、託児サービス支援付き訓練コースや、短時間の訓練コース(1日4時間以上)の設定を推進すべきであるとしている。
人手不足分野における訓練コースの設定に関しては、全国的に人手不足感が強い建設分野について、建設機械運転等の訓練を全国的に実施するように奨励すべきとし、その場合、訓練実施機関に対する奨励金(現行は基礎コースが受講者1人当たり月6万円等)の額の引上げを求めている。
厚生労働省は、報告書の内容を踏まえて関係規則等の改正を行い、早ければ平成28年度の実施を目指すこととしている。