長時間労働者の情報の産業医への提供義務化

厚生労働省は先月22日、長時間労働者に関する情報を産業医に提供することを新たに事業者に義務付けること、産業医による職場巡視の回数について、一定の要件を満たす場合は「少なくとも2ヵ月に1回」とすること──を主な内容とした「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」(産業医制度等関係)を労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)に諮問した。

労働安全衛生法は、週40時間を超える労働が1ヵ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときには、労働者の申し出に基づき、医師による面接指導を実施することを事業者に義務付けている(法第66条の8、労働安全衛生規則第52条の2第1項、同則第52条の3)。そして、週40時間を超えた労働時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行うとしている(労働安全衛生規則第52条の2第2項)。

改正案は、事業者がこの労働時間の算定を行ったときには、速やかに、その超えた時間が1ヵ月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないとしている。

また、労働安全衛生規則第15条は、「産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければならない」と規定している。

改正案は、この産業医の定期巡視について、事業者から毎月1回産業医に①衛生管理者が少なくとも毎週1回行う作業場等の巡視の結果、②衛生委員会等の調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの──の情報が提供される場合であって、事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2ヵ月に1回とすることを可能とするとしている。

なお、これらの改正規定の施行期日は、平成29年6月1日(予定)となっている。