長時間労働を「プラス評価傾向」約25%

公益財団法人日本生産性本部(松川昌義理事長)は、正社員の働き方などに関する調査結果をまとめた。それによると、正社員の長時間労働に対する企業の評価は、「プラスに評価する傾向がある」が24.8%となっている。また、自社の正社員の労働生産性が同業他社に比べて「高い」、「どちらかというと高い」とする企業では、長時間労働に対して、「労働時間の長短と評価は関係ない」が43.8%と最も高く、一方、生産性が「低い」、「どちらかというと低い」企業では、「プラスに評価する傾向がある」が43.3%で最も高い。

 調査は、正社員の働き方や勤務地限定制度などについて全上場企業2177社を対象に今年7月から8月にかけて実施しており、回答のあった133社について集計している(回収率6.0%)。

 調査結果の中から、正社員(特にホワイトカラー層)の労働生産性と長時間労働に関する部分をみると、長時間労働に対する企業の評価は、「労働時間の長短と評価は関係ない」が44.4%と最も高いものの、2番目に高いのが「プラスに評価する傾向がある」24.8%となっている。一方、「マイナスに評価する傾向がある」(13.5%)は1割強にとどまっている。

 また、正社員の労働生産性の高さと長時間労働への評価をみると、自社の正社員の労働生産性が同業他社に比べて「高い」、「どちらかというと高い」と感じている企業では、長時間労働に対して、「プラスに評価する傾向がある」は25.0%で、「労働時間の長短と評価は関係ない」が43.8%となっている。一方、労働生産性が「低い」、「どちらかというと低い」と感じている企業では、「プラスに評価する傾向がある」は43.3%で、「労働時間の長短と評価は関係ない」は26.7%となっている。

 次に、正社員の働き方の多様化・柔軟化につながると思われる7つの制度(在宅勤務制度、テレワーク制度、短時間正社員制度、フレックスタイム制度、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制、朝型勤務)の導入状況と生産性向上への効果をみると、導入率が最も高いのは、「フレックスタイム制度」で49.6%となっている。次いで、「在宅勤務制度」(18.8%)、「専門業務型裁量労働制」(17.3%)、「短時間正社員制度」(16.5%)、「企画業務型裁量労働制」(10.5%)の順となっている。これらの制度をすでに導入している企業における制度の生産性向上効果をみると、「効果あり」(「大いに効果あり」と「やや効果あり」の合計)とする企業割合は、いずれの制度も6割を超えている。

 これを制度別にみると、導入率が最も高い「フレックスタイム制度」では、「大いに効果あり」(18.2%)と「やや効果あり」(52.7%)をあわせると70.9%が「効果あり」と回答している。また、「企画業務型裁量労働制」は、「大いに効果あり」が36.4%と最も高く、「やや効果あり」(54.5%)とあわせると90.9%が「効果あり」と回答している。