違反率は6年ぶりに低下し12.7%に
厚生労働省は、最低賃金の履行確保を主眼とした監督指導結果(平成30年)をまとめた。それによると、違反率は現在の集計方式となった平成19年以降で最も高かった前年(14.1%)を1.4ポイント下回る12.7%となった。違反率が前年を下回ったのは6年ぶり。また、監督指導を実施した事業場の全労働者数に占める最低賃金未満の労働者数の比率は3.3%(前年3.5%)となっている。法違反事業場の認識状況をみると、「金額は知らないが、最賃が適用されることを知っている」とする事業場が48.2%(前年52.3%)で最も多い。
同省では、最低賃金の履行確保を主眼とした臨検監督を毎年定期的に実施している。平成30年は、29年度の地域別最低賃金額の改定(全国加重平均848円、前年度比25円の引上げ)後の30年1月から3月にかけて実施している。対象事業場は、過去の監督指導結果などから最低賃金の履行状況について問題があると考えられる業種・規模の1万5602事業場。
その結果によると、最低賃金額以上の賃金を支払っていない事業場数は1985事業場、違反率は12.7%となっている。違反率は前年(14.1%)を1.4ポイント下回り、6年ぶりに低下した。
業種別の違反率(100事業場以上の監督指導を実施した業種に限る。以下同じ)をみると、保健衛生業が16.0%と最も高く、次いで、その他の事業14.3%、製造業13.3%、接客娯楽業13.0%、商業11.7%、清掃・と畜業11.0%──などの順となっている。
また、細かな業種区分でみた違反率では、化学工業(22.9%)、電気機械器具製造業(20.9%)、パルプ・紙・紙加工品製造業(20.9%)、医療保健業(19.5%)、繊維工業(15.8%)、その他の商業(15.4%)、一般機械器具製造業(15.2%)、社会福祉施設(14.9%)、その他の事業(14.9%)──などが高い。
次に、最低賃金未満の労働者の状況をみると、監督指導を実施した事業場の全労働者数19万5606人のうち、6386人が最低賃金未満の労働者で、その比率は3.3%(前年3.5%)となった。
また、法違反事業場の認識状況は、「金額は知らないが、最賃が適用されることを知っている」48.2%(前年52.3%)、「適用される最賃額を知っている」47.3%(同41.8%)、「最賃が適用されることを知らなかった」4.6%(同5.9%)となっている。
なお、地域別最低賃金が適用される事業場と特定最低賃金が適用される事業場の別でみた違反率は、地域別最低賃金適用事業場(監督実施事業場数1万5244事業場)が12.6%(前年13.9%)、特定最低賃金適用事業場(同358事業場)が15.9%(同18.2%)となった。