賃金を引き上げる企業割合がさらに上昇し85.4%

厚生労働省は、平成27年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果をまとめた。この調査は、常用労働者100人以上(製造業、卸売業、小売業は30人以上)の民営企業約3500社を対象に実施している。今回まとめられたのは、そのうち常用労働者100人以上の企業1661社について。

調査結果によると、平成27年中に1人当たり平均賃金を引き上げる企業は85.4%(前年83.6%)、引き下げる企業は1.2%(同2.1%)、賃金の改定を実施しない企業は8.4%(同9.7%)となった。前年と比べると、賃金を引き上げる企業の割合が上昇し、賃金を引き下げる企業及び賃金の改定を実施しない企業の割合が低下している。

次に、27年中における賃金の改定状況(実施予定を含む)をみると、1人平均賃金の改定額が5282円(前年5254円)、1人平均賃金の改定率が1.9%(同1.8%)となっており、改定額、改定率ともに前年を上回っている。

これを企業規模別にみると、改定額は、5000人以上が7248円(前年6044円)、1000~4999人が5999円(同6126円)、300~999人が4633円(同4844円)、100~299人が3947円(同4229円)となっている。改定率は、5000人以上が2.2%(前年1.9%)、1000~4999人が2.0%(同2.1%)、300~999人が1.8%(同1.7%)、100~299人が1.6%(同1.6%)となっている。

賃金カットの実施状況についてみると、賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業のうち、27年中に賃金カットを実施または予定している企業は9.5%(前年9.0%)となった。これを対象者別にみると、「管理職のみ」28.1%(前年15.2%)、「一般職のみ」11.7%(同16.7%)、「管理職一部と一般職一部」39.8%(同51.4%)、「管理職全員と一般職全員」12.2%(同15.6%)となっている。

賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定にあたり最も重視した要素をみると、「企業の業績」が52.6%(前年50.7%)と最も多く、ほかでは、「重視した要素はない」(15.0%)を除くと、「労働力の確保・定着」6.8%(前年5.8%)、「親会社又は関連(グループ)会社の改定の動向」5.4%(同4.6%)、「雇用の維持」5.0%(同5.2%)、「前年度の改定実績」4.4%(同2.6%)、「世間相場」3.6%(同4.7%)などとなっている。