賃金の引上げ行った企業は前年を上回る86.7%に

厚生労働省は、平成28年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果をまとめた。この調査は、常用労働者100人以上(製造業、卸売業、小売業は30人以上)の民営企業約3500社を対象に実施している。今回まとめられたのは、そのうち常用労働者100人以上の企業1709社について。

調査結果によると、平成28年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は86.7%(前年85.4%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」企業割合は0.8%(同1.2%)、「賃金の改定を実施しない」企業割合は7.1%(同8.4%)となっている。前年と比べると、賃金の引上げを行った企業の割合が上昇し、賃金の引下げを行った企業及び賃金の改定を実施しない企業の割合が低下している。

次に、28年中における賃金の改定状況(実施予定を含む)をみると、1人平均賃金の改定額が5176円(前年5282円)、1人平均賃金の改定率が1.9%(同1.9%)となっており、改定額は前年を下回り、改定率は前年と同水準となった。

これを企業規模別にみると、改定額は、5000人以上が5683円(前年7248円)、1000~4999人が5434円(同5999円)、300~999人が5319円(同4633円)、100~299人が4482円(同3947円)となっている。改定率については、5000人以上が1.9%(前年2.2%)、1000~4999人が1.8%(同2.0%)、300~999人が2.0%(同1.8%)、100~299人が1.8%(同1.6%)となった。

賃金カットの実施状況についてみると、賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業のうち、28年中に賃金カットを実施または予定している企業は10.7%(前年9.5%)となっている。これを対象者別にみると、「管理職のみ」40.3%(前年28.1%)、「一般職のみ」17.4%(同11.7%)、「管理職一部」と「一般職一部」35.8%(同39.8%)、「管理職全員」と「一般職全員」2.4%(同12.2%)となっている。

賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定にあたり最も重視した要素をみると、「企業の業績」が51.4%(前年52.6%)と最も多く、ほかでは、「重視した要素はない」(15.7%)を除くと、「労働力の確保・定着」11.0%(前年6.8%)、「親会社又は関連(グループ)会社の改定の動向」5.9%(同5.4%)、「雇用の維持」4.6%(同5.0%)、「世間相場」4.2%(同3.6%)、「前年度の改定実績」2.7%(同4.4%)などとなっている。