規模300人超企業に女性登用の数値目標を義務化
一定の民間事業主に対して、女性の職業生活における活躍の推進のための行動計画の策定・届出を義務付ける「女性活躍推進法」が、さる8月28日成立し、9月4日公布された。同法は、安倍政権が成長戦略の中核の1つに掲げる「女性の活躍推進」を実現するために立法化されたもの。法案は、今年2月20日に閣議決定され、同日国会に提出された。国会での審議は衆議院で始まり、同院において法案の一部を修正し、その後、参議院での審議を経て、8月28日に可決、成立した。
同法は、①総則、②基本方針等、③事業主行動計画等、④女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置、⑤雑則、⑥罰則──の全6章・34ヵ条(本則)で構成されている。
その中から、民間企業に関する部分の主な内容をみると、常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主(301人以上の企業)は、一般事業主行動計画(記載事項:計画期間、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組みの実施により達成しようとする目標、実施しようとする取組内容及びその実施時期)を策定し、厚生労働大臣に届け出なければならないとしている。
また、一般事業主行動計画の策定・変更に当たっては、①女性の採用比率、②勤続年数の男女差、③労働時間の状況、④女性の管理職比率──などに関する状況を把握し、改善すべき事情を分析したうえで、その結果を勘案して、採用する労働者に占める女性比率、男女の継続勤続年数差の縮小割合、労働時間、女性の管理職比率などの数値目標を定めなければならない。そして、策定した一般事業主行動計画は労働者に周知し、公表しなければならないとしている。さらに、一般事業主行動計画に基づく取組みを実施するとともに、一般事業主行動計画に定められた目標を達成するよう努めなければならないとした。
このほか、労働者規模301人以上の企業は、女性の職業選択に資するよう、その事業における女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表しなければならないとしている。
なお、これら一般事業主行動計画の策定・届出、女性の職業選択に資する情報の公開は、労働者規模300人以下の企業は努力義務となっている。法律の施行期日は、一般事業主に係る部分(事業主行動計画策定指針の部分を除く)は平成28年4月1日、その他の部分は公布日となっている。また、同法は10年間の時限立法となっている。