虚偽条件を紹介事業者に呈示した求人者に罰則を
有料職業紹介事業等の規制の今後のあり方について、法的・制度的な観点から検討を行っていた厚生労働省の「雇用仲介事業等の在り方に関する検討会」(座長・阿部正浩中央大学経済学部教授)が報告書をまとめた。それによると、求職者保護の観点からの必要な制度見直しが必要であるとして、虚偽の条件を職業紹介事業者等に対し呈示した求人者に対する罰則の新設を提案している。
報告書は、求職・求人ルートや雇用仲介事業等(職業紹介事業、求人・求職者情報提供事業、労働者派遣事業、労働者の募集等)も多様化している中で、官民の雇用仲介事業等について、様々な求職・求人のマッチングがより適切かつ円滑に行われるよう、更なる機能強化を図ることが必要としている。そのうえで、「まずは、求職者保護の観点からの必要な制度の見直しや取組の強化を図ることが必要」と指摘している。
具体的には、職業紹介事業に関しては、職業紹介責任者については、現行の事業所ごとの選任を維持することとしたうえで、職業紹介責任者の職責として他の従業員に対する労働法令等の教育を加えるとともに、職業紹介責任者講習の充実を図ることが適当とした。また、事業所に関する面積要件(おおむね20m2(平米)以上)を廃止し、それに代えて、求職者のプライバシー確保のための措置を講ずることを要件とすることが適当としている。
さらに、求職者保護の強化に関して、労働条件などの明示等のルールについて、固定残業代を明示する等の現行指針(平成11年11月17日労働省告示第141号)の充実、虚偽の条件を職業紹介事業者等に対して呈示した求人者に係る罰則の整備などを図ることが適当としている。
職業紹介事業以外の雇用仲介事業等に関しては、労働者の募集を委託する者に係る許可制・届出制及び報酬の認可制を廃止することが適当とした。
また、求人・求職者情報提供事業については、サービスが多様化し職業紹介事業に近似したサービスも登場していることから、個人情報の取扱いの義務、守秘義務、労働条件等の明示義務、募集内容の的確表示に係る努力義務、募集に応じた求職者からの報酬受領の禁止など、雇用仲介事業として必要なルールを設定することが適当であると指摘している。
報告を受けた同省は、この秋以降、労働政策審議会において雇用仲介事業のあり方についての検討を開始する予定。