自動車運転者、外食産業等の調査分析結果を報告
政府は去る10月6日、「平成29年版過労死等防止対策白書」を閣議決定した。白書は、過労死等防止対策推進法第6条の規定に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書で、今回が2回目の報告書となる。
29年版の白書では、労働時間やメンタルヘルス対策等の状況、過労死等の現状のほか、過労死等が多く発生していると指摘のある自動車運転従事者や外食産業を重点業種とする分析など、企業における過労死等防止対策の推進に参考となる調査研究結果を報告している。
また、「『過労死等ゼロ』緊急対策」(平成28年12月26日「長時間労働削減推進本部」決定)や「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日「働き方改革実現会議」決定)などに基づく取組みを中心とした施策の状況について詳しく記載した。
その中で、過労死等をめぐる調査・分析結果によると、自動車運転従事者(バス運転者、タクシー運転者、トラック運転者)へのアンケート結果では、業務関連のストレスや悩みがある者の割合は、バス運転者59.5%、タクシー運転者48.6%、トラック運転者37.5%となっており、悩みの内容としては、バス運転者では「長時間労働の多さ」(48.0%)、タクシー運転者では「売上、業績等」(49.7%)、トラック運転者では「仕事での精神的な緊張・ストレス」(42.5%)が最も高い。
外食産業の正規雇用者の疲労蓄積度について、直近1ヵ月の勤務状況や自覚症状に関する質問により判定した結果をみると(職種別)、疲労蓄積度が「高い」、「非常に高い」とされる者の割合は、「スーパーバイザー等」が22.5%と最も高く、次いで、「店長」が22.4%。
また、過去1年間の休日出勤回数(平均的な1ヵ月)及び休日出勤回数が最も多かった月の回数をみると、「スーパーバイザー等」は、それぞれ0.9回、3.1回、「店長」は、それぞれ1.5回、3.9回となった。
法人の役員・自営業者を対象としたアンケート調査結果では、平均的な1週間当たりの実労働時間は、法人役員・自営業者ともに「30時間未満」の者(法人役員26.2%、自営業者30.2%)及び「40時間以上50時間未満」の者(同35.3%、同29.0%)の割合が高いが、「60時間以上」の者も法人役員が9.3%、自営業者が13.6%となっている。
また、過去半年間に業務のストレスや悩みがあったと回答した者の割合は法人役員が58.4%、自営業者が61.0%となっている。その内容としては、法人役員、自営業者ともに、「今後の事業展開」(法人役員57.0%、自営業者50.3%)、「売上・業績、資金繰り等」(同51.3%、同54.6%)など経営に関するものの割合が高くなった。