繰り返し違反が未是正の間は求人不受理

改正青少年雇用促進法第11条は、ハローワークは、求人者が学校卒業見込者等を条件とした求人の申込みをする場合において、当該求人者がした労働関係法の規定で政令で定めるものの違反に関し、法に基づく処分や公表等の措置が講じられたとき(厚生労働省令で定める場合に限る)は、その求人申込みを受理しないことができると規定している。

これは、ハローワークは求人申込みをすべて受理しなければならないこととする職業安定法の特例を規定したもの。

こうした特例が設けられた背景には、若者の「使い捨て」が疑われる企業が社会問題となっている状況のもと、新卒一括採用の慣行の中で、新規学卒時のトラブルは、職業生活に長期的な影響を及ぼすおそれがあると考えられることがある。そのため、就業を継続するうえで問題を抱えることが懸念される労働関係法令違反の求人者からの求人について、学校卒業見込者等に紹介することがないよう、そのような求人者からの学校卒業見込者等を条件とした求人を受理しない仕組みを法整備したもの。

求人不受理に係る労働関係法令違反の対象条項は、①労働基準法の規定のうち、賃金、労働時間、労働条件の明示、年少者の労働条件等に関するもの、②最低賃金法第4条の最低賃金の効力、③男女雇用機会均等法の規定のうち、規定の違反により公表の対象とされるもの、④育児・介護休業法の規定のうち、規定の違反により公表の対象とされるもの──となっている(平成28年1月14日政令第4号)。

また、厚生労働省令で定める求人不受理の場合として、労働基準法または最低賃金法違反の事案、男女雇用機会均等法または育児・介護休業法違反の事案についてそれぞれ定めている(平成28年1月14日厚生労働省令第4号)。

労働基準法または最低賃金法違反の事案については、まず、過去1年間に2回以上同一条項の違反がある場合あるいは当該違反行為が学校卒業見込者等の職場への定着に重大な影響を及ぼすおそれがある場合であって、求人申込時において、違反行為の是正が行われていないことまたは是正から6ヵ月経過していないことが確認された場合としている。

なお、「当該違反行為が学校卒業見込者等の職場への定着に重大な影響を及ぼすおそれがある場合」とは、⑴求人不受理の対象となり、是正から6ヵ月以内に再度同一条項の違反をした場合、⑵「違法な長時間労働を繰り返し行う企業の経営トップに対する都道府県労働局長による是正指導の実施及び企業公表について」(平27・5・18 基発0518第1号)に基づき公表された場合(詳細は本誌第1858号参照)としている。

次に、労働基準法または最低賃金法違反により送検された事案については、①過去1年間に2回以上同一条項の違反があり送検日までに違反行為が是正されており、是正から送検日までの期間が6ヵ月を超えているときは、求人申込時において、送検日から6ヵ月経過してない場合、②同じく、是正から送検日までの期間が6ヵ月を超えていないときは、求人申込時において、送検日から1年以内の一定の期間(12ヵ月から、是正から送検日までの期間を減じた期間)が経過していない場合、③送検日前に違反行為が是正されたときまたは送検日前に違反行為が是正されていないときは、求人申込時において、イ送検日から1年を経過していない場合、ロ違反行為の是正が行われていない場合、ハ是正から6ヵ月経過していない場合──は求人不受理としている。

また、男女雇用機会均等法または育児・介護休業法違反の事案については、法違反の是正勧告に従わず公表された場合であって、求人申込時において、違反行為の是正が行われていないことまたは是正から6ヵ月経過していないことが確認された場合──などが求人不受理となるとしている