継続雇用後の賃金低下は「やむを得ない」が約半数
(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)は、「60代の雇用・生活調査」の結果をまとめた。調査は、60代前半層の就業と継続雇用の状況、今後の就業意向などについて、60~69歳の男女5000人を対象に、昨年7月から8月にかけて実施している(有効回収率:64.9%)。
調査結果をみると、定年を迎えた直後の就業状況は、「仕事をしていた」とする者が57.3%、「失業して仕事を探していた」14.9%、「仕事や求職活動はしていなかった」19.9%となっている。これを5年前の調査(平成21年)と比べると、「仕事をしていた」(21年調査56.4%)とする者の割合がやや上昇している。
定年後に仕事をしていた者の就業経緯をみると、「勤務先の会社などで再雇用・勤務延長の形で働いていた」が66.0%(21年調査62.3%)と最も多く、ほかでは、「勤務先からのあっせんによらず別の会社などに再就職した」13.5%(同10.6%)、「勤務先の会社から別の会社などをあっせんされて再就職した」12.5%(同16.8%)などとなっている。
定年前後の仕事の変化をみると、職種(大分類)については83.9%の者が変化はないとしているが、仕事の内容の変化については、「変わっていない」50.3%、「同じ分野での業務ではあるが、責任の重さが変わった」35.9%、「全く別の業務分野の仕事に変わった」6.5%などとなっている。
また、賃金の変化についてみると、継続雇用後の賃金が減少したとする者の割合は81.0%(21年調査80.3%)となっており、その減少率をみると、「41~50%減少」とする者が24.0%と最も多く、次いで、「21~30%減少」18.3%、「31~40%減少」14.1%、「51~60%減少」10.5%、「16~20%減少」8.1%などとなっている。
賃金が下がったことについての考えをみると(複数回答)、「雇用が確保されるのだから、賃金の低下はやむを得ない」が48.5%と最も高く、次いで、「仕事がほとんど変わっていないのに、賃金が下がるのはおかしい」30.2%、「会社への貢献度が下がったわけではないのに賃金が下がるのはおかしい」20.6%、「仕事の責任の重さがわずかに変わった程度なのに、下がりすぎだ」16.6%などとなっている。
一方、定年直後に仕事に就いていなかった者の継続雇用されなかった理由をみると、継続雇用を「希望しなかった」69.2%(21年調査56.4%)、「希望したが雇用されなかった」8.9%(同6.5%)などとなっている。