社員の安全と健康を守る先駆的な取組事例を調査

厚生労働省はこのほど、安全衛生優良企業公表制度に基づく認定企業における社員の安全確保や健康増進に関する取組みを「社員の安全と健康が、企業の評価を上げる。-安全衛生優良企業公表制度の認定企業を訪ねてー」と題した報告書にまとめた。

平成27年に創設された安全衛生優良企業公表制度は、働く人の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を有する企業を国が安全衛生優良企業として認定するもの。認定に際しては、過去3年間に労働安全衛生法等の重大な法律違反がないこと、安全衛生の実施体制が整備されていることなどの基本事項に加え、労働者の健康保持増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策、安全でリスクの少ない職場環境の整備など幅広い分野における積極的な取組みによる実績が審査される。平成30年4月末現在で35社が認定を受けている。

報告書は、認定企業のうち5社(株式会社みちのく銀行、宮崎工業株式会社、アップコン株式会社、パナソニックエコソリューションズ池田電機株式会社(PES池田)、ニッポン高度紙工業株式会社)を訪問し、安全や健康に関する課題解決型の先駆的な取組事例や成果を調査しまとめている。

取組事例の内容を項目別にみると、安全パトロールのマンネリ化や形骸化の防止、緊張感の醸成に関する取組みでは、①親会社・グループ会社・他工場等の相互による第三者的な視点の導入(宮崎工業、ニッポン高度紙工業)、②経営トップが災害懸念のある長期連続休日明けの製造現場を巡視して、引き締め(PES池田)、③毎月の重点点検項目や安全標語を社内で徹底して、メリハリある巡回を確保(宮崎工業)──がある。

社員等に対する危険体験教育による安全意識の喚起、現場発の安全改善提案の重視では、①新入社員、新規パート等に危険体感訓練を義務付け、管理職にはゼロ災害継続の指導者教育(PES池田)、②危険体感訓練のほか、実践的な危険箇所発見の研修を製造部門中心に実施(ニッポン高度紙工業)、③安全改善提案(年間約100件)は可能な限り採用、毎月職場単位での安全フリーディスカッション実施(宮崎工業)──があるとしている。

社員の健康増進サポートの推進(健康診断結果の自覚徹底、生活習慣病予防、運動不足解消等の対応)では、①経営トップによる「健康経営宣言」のもと、地元大学と連携した健康支援リーダーの育成や県立病院と連携した独自の生活習慣改善プログラムを推進。健康意識の変革を促進(みちのく銀行)、②全社員対象の健康学習、社内コミュニケーション手法研修、非言語コミュニケーション等(ニッポン高度紙工業)、③フットサルなど各種スポーツ活動、禁煙、階段利用等に対して、会社がポイントを付与して推奨(アップコン)──がある。

また、労働災害データの分析によるリスクアセスメントの推進では、危険作業の見える化によるゼロ災害の徹底の取組み(ニッポン高度紙工業)などがあるとした。