目標は死亡15%以上・死傷5%以上減少
厚生労働省は、2018年度から2022年度までの5か年を計画期間とする「第13次労働災害防止計画」(13次防)の案をまとめた。13次防では、計画の目標として、2017年と比較して、2022年までに死亡災害は15%以上減少、死傷災害(休業4日以上)は5%以上減少させることをを掲げている。また、重点業種の目標は、建設業、製造業、林業については、5年間で死亡災害15%以上減少、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店については、5年間で死傷災害を死傷年千人率で5%以上減少させるとしている。
「労働災害防止計画」は、昭和33年から、これまでに12次にわたって策定されている。現在の計画(12次防)は、平成25年度から29年度までの5か年を計画期間としたもので、来年3月で期間を終える。
労働災害の発生件数は、長期的には減少傾向にあり、平成27年には死亡者数が初めて1000人を下回る972人となり、昨年は928人と過去最少となった。また、休業4日以上の死傷者数は、平成21年に過去最少の10万5718人となったが、その後は増加傾向にあり、昨年は2年ぶりに前年を上回る11万7910人となった。なお、今年は、10月までの速報値で、死亡者数が前年同期比4.8%増加の701人、死傷者数が同1.4%増加の8万7125人となっている。
現在の12次防では、計画の目標として、死亡者数・死傷者数とも平成24年と比較して、29年までに15%以上減少させることを掲げている。また、重点業種ごとの目標を初めて示し、死亡者数は、建設業は20%以上減少、製造業は5%以上減少、死傷者数
は、陸上貨物運送事業と社会福祉施設は10%以上減少、小売業と飲食店は20%以上減少としている。
これに対し、計画期間の実績(平成28年の確定値。以下同じ)は、死亡者数が15.1%減少、死傷者数が1.4%減少となり、死亡者数につては目標達成レベルにあるが、死傷者数は目標達成に及ばない状況。
また、重点業種の実績をみると、建設業が死亡者数19.9%減少、製造業が同11.1%減少、陸上貨物運送事業が死傷者数1.0%増加、社会福祉施設が同27.8%増加、小売業が同2.6%増加、飲食店が同9.5%増加となっており、死傷災害の重点業種ではいずれも増加している。
こうした中で策定される13次防では、12次防の計画期間の実績を踏まえて目標を設定している。それによると、死亡災害については、2017年と比較して、2022年までに15%以上減少、死傷災害については、同5%以上減少させるとしている。
重点業種ごとの目標は、建設業、製造業、林業(13次防で新たに重点業種に追加)ともに死亡災害を15%以上減少、また、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店ともに死傷災害を死傷年千人率で5%以上減少させるとしている。13次防では、重点業種の死傷災害の目標を「死傷年千人率」(労働者1000人あたり1年間に発生する死傷者数を示す)で設定しているのが大きな特徴で、これは、業種間の労働移動を考慮してのこと。
このほかの目標として、①仕事上の不安・悩み・ストレスの相談先が職場にある労働者の割合を90%以上(平成28年実績72.1%)とする、②メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上(同56.6%)とする、③ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上(同37.1%)とする、④第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛による死傷災害を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少させる、⑤職場での熱中症による死亡災害を2013年から2017年の5年間と比較して、2018年から2022年までの5年間で5%以上減少させる──などを示した。
同省では、13次防について、労働政策審議会安全衛生分科会の了承を得た上で正式決定し、来年2月にも公示することとしている。