派遣社員いる事業所では今後は「割合減らす」19%
厚生労働省は、平成29年「派遣労働者実態調査」の結果をまとめた。調査は、事業所規模5人以上の事業所約1万7000ヵ所と、そこで働く派遣労働者約1万4000人を対象として29年10月1日現在の状況について行っている(有効回答率:事業所調査59.5%、派遣労働者調査62.0%)。
調査結果の中から、事業所調査についてみると、29年10月1日現在で、派遣労働者が就業している事業所の割合は12.7%となっている(前回平成24年調査10.8%)。これを産業別にみると、「情報通信業」で30.1%と最も高く、次いで、「運輸業、郵便業」21.6%、「金融業、保険業」19.3%、「製造業」18.3%の順となっている。
派遣労働者が就業している事業所について、派遣労働者を就業させる主な理由をみると(3つまでの複数回答)、「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」が73.1%と最も高く、次いで、「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」35.8%、「軽作業、補助的作業等を行うため」24.5%、「専門性を活かした人材を活用するため」23.7%、「自社で養成できない労働力を確保するため」13.5%の順となっている。
一方、派遣労働者が就業していない事業所について、派遣労働者を受け入れない主な理由をみると(3つまでの複数回答)、「今いる従業者で十分であるため」が59.4%で最も高く、次いで、「費用がかかりすぎるため」25.6%、「派遣労働者を受け入れるより他の就業形態の労働者を採用しているため」22.1%、「必要な職業能力を備えた派遣労働者をすぐに確保することが困難であるため」18.0%の順となった。
また、派遣労働者が就業している事業所について、過去1年間(平成28年10月1日~29年9月30日。以下同じ)に派遣労働者に対して教育訓練・能力開発を実施した事業所の割合は59.0%(24年調査66.8%)となっている。実施した教育訓練・能力開発の方法は(複数回答)、「働きながら行う教育訓練・能力開発(OJT)を行った」が84.6%と最も高く、ほかでは、「派遣元が実施する教育訓練・能力開発への便宜を図った」24.6%、「外部の講師を招いて教育訓練・能力開発を行った」7.4%、「教育訓練機関(事業所以外の場所)で教育訓練・能力開発を行った」6.8%などとなっている。
派遣労働者を正社員に採用する制度がある事業所の割合は13.1%(24年調査13.0%)で、このうち過去1年間に「派遣労働者を正社員に採用したことがある」は1.5%(同1.7%)となっている。採用する制度がない事業所は83.8%(同82.9%)で、このうち「派遣労働者を正社員に採用したことがある」は1.5%(同1.3%)となっている。これを派遣労働者が就業している事業所についてみると、派遣労働者を正社員に採用する制度がある事業所の割合は24.4%(同13.0%)、このうち「派遣労働者を正社員に採用したことがある」は6.3%(同1.7%)となっている。
今後の派遣労働者の割合の方針については、派遣労働者が就業している事業所では、「割合を減らす」19.3%、「割合を増やす」7.1%、「割合を変えない」20.4%、「未定」49.3%などとなった。