派遣の上限は全業務が事業所ごとで3年
派遣労働の期間制限の仕組みを抜本的に改めた改正労働者派遣法が先月11日成立し、同30日に施行となった。改正法は、派遣期間の制限について、従前の業務ごとの規制(専門26業務は無制限、その他の業務は最長3年)を撤廃し、派遣先事業所・派遣就業場所ごとの派遣期間の上限を3年(過半数労働組合等の意見聴取をした場合は3年間延長可能)としている。また、派遣労働者個人の期間制限を同一の組織単位ごとの業務で3年としている。このほか、特定労働者派遣事業を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制とした。
- 改正法は、①派遣事業の健全化、②派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ、③派遣労働者の位置付けの明確化、④より分かりやすい派遣期間規制への見直し、⑤派遣労働者の均衡待遇の強化──が主な内容。
その具体的内容は、特定労働者派遣事業(改正前=届出制)と一般労働者派遣事業(同=許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制としている。
派遣労働者の雇用安定・キャリアアップに関しては、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進するため、派遣元事業主に対し、派遣労働者に計画的な教育訓練を実施すること及び希望者へのキャリアコンサルティングの実施を義務付けた。また、雇用を継続するための措置として、3年間同一の組織単位(労働者の配置の区分で、労働者の業務を指揮命令する管理者が当該労働者の業務遂行に直接の権利を有するもの)の業務に継続して従事する見込みがある派遣労働者に対して、①派遣先への直接雇用の依頼、②新たな派遣先の提供、③派遣元での無期雇用、④その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置として厚生労働省令で定めるもの──をずることを派遣元事業主に義務付けている(継続従事見込みの期間が1年以上3年未満の派遣労働者については努力義務)。
改正法の目玉である派遣期間規制の見直しでは、派遣可能期間を業務ごとに設定していた従前の仕組み(専門26業務は無制限、その他の業務は最長3年)を廃止している。そして、①期間を定めないで雇用される派遣労働者に係る労働者派遣、②雇用の機会の確保が特に困難である派遣労働者であって厚生労働省令で定める者に係る労働者派遣、③一定の期間内に完了することが予定されている業務、育児休業をする労働者の業務等に係る労働者派遣──を除き、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとに派遣可能期間の上限を3年とした。
なお、派遣先は、過半数労働組合(そうした労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴取することにより、派遣可能期間をさらに3年延長することができることになっている(更新回数に制限なし)。
派遣労働者個人単位の期間制限では、派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣を行ってはならないとしている。
このほか、附則に、①改正法施行3年後を目途に派遣法の規定について検討し、必要があるときは所要の措置を講ずる、②前記①にかかわらず、正社員と派遣労働者の数の動向等を踏まえ、能力の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行が損われるおそれがある場合は速やかに検討する、③均等・均衡待遇の確保のあり方を検討するため、調査研究その他の必要な措置を講ずる──とする検討規定が置かれている。