法違反率は2年連続で低下し66.8%
厚生労働省は、平成28年の定期監督等実施状況・法違反状況をまとめた。それによると、労働基準法、労働安全衛生法などの労働関係法令違反の事業場割合(法違反率)は66.8%で、前年(69.1%)と比べ2.3ポイント低下た。法違反率が前年を下回ったのは2年連続。業種別にみた法違反率は、最も高いのは接客娯楽業の76.3%、次いで、保健衛生業74.3%、映画・演劇業74.2%の順。また、労働基準法関係の違反内容で最も多いのは労働時間、次いで、割増賃金、労働条件の明示、賃金台帳──の順となっている。
同省のまとめによれば、平成28年に定期監督を実施した事業場数は13万4617事業場(前年13万3116事業場)で、そのうち、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの法令違反が認められた事業場数は8万9972事業場(同9万2034事業場)となっている。法違反率は前年(69.1%)を2.3ポイント下回る66.8%となり、2年連続の低下となった。
法違反率を業種別にみると、最も高いのは接客娯楽業の76.3%、以下、保健衛生業74.3%、映画・演劇業74.2%、運輸交通業と畜産・水産業がともに72.2%、商業70.7%、製造業69.9%、鉱業69.0%、清掃・と畜業68.5%、教育・研究業67.4%──と続いている。
法違反率を前年と比べると(前出の10業種)、すべての業種で前年を下回っており、教育・研究業(マイナス4.0ポイント)、運輸交通業(同3.3ポイント)、商業(同2.8ポイント)、鉱業(同2.5ポイント)、製造業(同2.4ポイント)での低下が比較的大きくなった。
次に、違反内容別の件数をみると、労働基準法関係は、労働時間(第32条、第40条)が2万8252件と最も多く、以下、割増賃金(第37条)1万8772件、労働条件の明示(第15条)1万3754件、賃金台帳(第108条)1万127件、就業規則(第89条)9765件、賃金不払(第23条、第24条)5200件、休日(第35条)2233件、休憩(第34条)1986件、労働者名簿(第107条)1608件──などとなっている。
また、労働安全衛生法関係の違反では、安全基準(第20条~第25条)が2万3664件(うち2万2830件が労働安全衛生規則関係)と最も多く、以下、健康診断(第66条)1万9716件(うち1万7495件が労働安全衛生規則関係)、衛生基準(第20条~第25条)7034件、定期自主検査(第45条)7020件、作業主任者(第14条)6572件、衛生管理者(第12条)5563件、注文者(第31条)4333件、作業環境測定(第65条)3881件(うち2737件が有機溶剤中毒予防規則関係、1947件が特定化学物質障害予防規則関係)、安全衛生委員会等(第17条~第19条)2991件、安全衛生教育(第59条、第60条)1982件、就業制限(第61条)1490件──などとなっている。
このほかに、最低賃金法違反(第4条の最低賃金の効力)が3498件、じん肺法違反が893件(うち117件が第7条の就業時健康診断、776件が第8条の定期健康診断)、労働者派遣法の特例違反(第44条の労働基準法の適用に関する特例及び第45条~第47条の労働安全衛生法等の適用に関する特例)が286件(うち99件が労働基準法、172件が労働安全衛生法等)となった。