法違反率は2年ぶりに低下し69.1%
厚生労働省は、平成27年の定期監督等実施状況・法違反状況をまとめた。それによると、労働基準法、労働安全衛生法などの労働関係法令違反の事業場割合(法違反率)は69.1%で、前年(69.4%)と比べ0.3ポイント低下した。法違反率が前年を下回ったのは2年ぶり。業種別にみた法違反率は、最も高いのは接客娯楽業の77.9%、次いで、映画・演劇業75.6%、運輸交通業75.5%、保健衛生業74.9%の順。また、労働基準法関係の違反内容で最も多いのは労働時間、次いで、割増賃金、労働条件の明示──の順となっている。
- 同省のまとめによれば、平成27年に定期監督を実施した事業場数は13万3116事業場(前年12万9881事業場)で、そのうち、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの法令違反が認められた事業場数は9万2034事業場(同9万151事業場)となっている。法違反率は前年(69.4%)を0.3ポイント下回る69.1%となり、2年ぶりに低下した。
法違反率を業種別にみると、最も高いのは、接客娯楽業の77.9%、以下、映画・演劇業75.6%、運輸交通業75.5%、保健衛生業74.9%、商業73.5%、畜産・水産業73.1%、製造業72.3%、鉱業71.5%──と続いている。
法違反率を前年と比べると(前出の8業種)、前年を下回っているのは、映画・演劇業(マイナス3.6ポイント)、保健衛生業(同0.4ポイント)、商業(同1.1ポイント)、製造業(同0.5ポイント)、鉱業(同1.2ポイント)の5業種。一方、前年を上回っているのは、接客娯楽業(プラス2.6ポイント)、運輸交通業(同0.2ポイント)、畜産・水産業(同1.8ポイント)の3業種となった。
次に、違反内容別の件数をみると、労働基準法関係は、労働時間(第32条、第40条)が2万7581件と最も多く、以下、割増賃金(第37条)1万9400件、労働条件の明示(第15条)1万5545件、就業規則(第89条)1万673件、賃金台帳(第108条)9527件、賃金不払(第23条、第24条)5425件、休日(第35条)2252件、休憩(第34条)1732件、労働者名簿(第107条)1654件──などとなっている。
また、労働安全衛生法関係の違反では、安全基準(第20条~第25条)が2万5474件(うち2万4467件が労働安全衛生規則関係)と最も多く、以下、健康診断(第66条)2万190件(うち1万7834件が労働安全衛生規則関係)、定期自主検査(第45条)7667件、衛生基準(第20条~第25条)7540件、作業主任者(第14条)6966件、衛生管理者(第12条)5743件、注文者(第31条)4635件、作業環境測定(第65条)4014件(うち2862件が有機溶剤中毒予防規則関係、1904件が特定化学物質障害予防規則関係)、安全衛生委員会等(第17条~第19条)3109件、安全衛生教育(第59条、第60条)2106件、就業制限(第61条)1820件──などの順となった。
このほかに、最低賃金法違反(第4条の最低賃金の効力)が3211件、じん肺法違反が1328件(うち163件が第7条の就業時健康診断、895件が第8条の定期健康診断)、労働者派遣法の特例違反(第44条の労働基準法の適用に関する特例及び第45条~第47条の労働安全衛生法等の適用に関する特例)が255件(うち78件が労働基準法、177件が労働安全衛生法等)となっている。