法違反率、改善基準告示違反率ともに前年上回る

厚生労働省は、自動車運転者を使用する事業場に対する平成29年の監督指導・送検状況をまとめた。それによると、全国の労働局・労働基準監督署が、トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場を対象に監督指導を実施したのは5436事業場。そのうち、労働基準関係法令違反が認められたのは4564事業場で、違反率は84.0%(前年82.9%)となった。

業種別の監督状況をみると、トラックは、監督実施事業場数が4295事業場、労働基準関係法令違反事業場数が3607事業場(違反率84.0%)、バスは、同276事業場、同231事業場(同83.7%)、ハイヤー・タクシーは、同391事業場、同347事業場(同88.7%)となっている。

業種別の主な違反事項は、トラックは、労働時間2595事業場(違反率60.4%)、割増賃金888事業場(同20.7%)、休日201事業場(同4.7%)、バスは、労働時間131事業場(同47.5%)、割増賃金62事業場(同22.5%)、休日17事業場(同6.2%)、ハイヤー・タクシーは、労働時間196事業場(同50.1%)、割増賃金120事業場(同30.7%)、休日14事業場(同3.6%)などとなった。

また、自動車運転者の拘束時間や運転時間などの基準を定めた告示(「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」平成元年労働省告示第7号)の違反が認められた事業場数は3516事業場(違反率64.7%)となっている。違反率は前年(61.6%)を3.1ポイント上回った。業種別の違反率は、トラックが69.0%、バスが57.6%、ハイヤー・タクシーが45.0%となっている。

業種別の主な違反事項は、トラックは、最大拘束時間2274事業場(違反率52.9%)、総拘束時間2053事業場(同47.8%)、休息期間1674事業場(同39.0%)、連続運転時間1271事業場(同29.6%)、最大運転時間828事業場(同19.3%)、バスは、最大拘束時間99事業場(同35.9%)、総拘束時間102事業場(同37.0%)、休息期間45事業場(同16.3%)、連続運転時間34事業場(同12.3%)、最大運転時間28事業場(同10.1%)、ハイヤー・タクシーは、最大拘束時間137事業場(同35.0%)、総拘束時間96事業場(同24.6%)、休息期間30事業場(同7.7%)などとなっている。

次に、送検状況をみると、労働基準関係法令違反により送検した件数は61件となっており、前年(68件)と比べ7件減少している。業種別にみた送検件数は、トラックが50件(前年54件)、バスが2件(同2件)、ハイヤー・タクシーが6件(同5件)となっている。