法違反あった約6100事業所に約2万件の是正指導

厚生労働省は、平成28年度に都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に寄せられた育児・介護休業法に関する相談状況などをまとめた。それによると、相談件数は10万7564件(27年度5万1478件)となっている(28年度からの都道府県労働局の組織見直しに伴い、相談件数の計上方法の変更を行ったため、27年度と単純比較できない)。

相談内容の内訳をみると、育児関係(5万9813件)では、「育児休業」が2万1933件(育児関係に係る相談の36.7%)、「育児休業以外(子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等、労働者の配置に関する配慮)」2万7729件(同46.4%)、「育児休業に係る不利益取扱い」5256件(同8.8%)、「育児休業以外に係る不利益取扱い」2927件(同4.9%)、「育児休業等に関するハラスメントの防止措置」1968件(同3.3%)となっている。

一方、介護関係(4万6323件)では、「介護休業」1万5925件(介護関係に係る相談の34.4%)、「介護休業以外(介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置等、労働者の配置に関する配慮」2万7085件(同58.5%)、「介護休業に係る不利益取扱い」839件(同1.8%)、「介護休業以外に係る不利益取扱い」1011件(同2.2%)、「介護休業等に関するハラスメントの防止措置」1463件(同3.2%)となった。

次に、都道府県労働局長による紛争解決の援助についてみると、申立受理件数は186件(育児関係172件、介護関係14件)となっており、前年度(221件)と比べ35件(15.8%)減少している。

育児関係に関する申立の内容をみると、「育児休業に係る不利益取扱い」が90件(育児休業関係の申立の52.3%)と最も多く、ほかでは、「育児休業(期間雇用者の育児休業を除く)」23件(同13.4%)、「育児休業以外に係る不利益取扱い」19件(同11.0%)、「期間雇用者の育児休業」11件(同6.4%)などとなった。

両立支援調停会議による調停申請受理件数は前年度と同数の5件となっている。申請の内容は、育児関係は、「育児休業(期間雇用者の育児休業を含む)」、「育児休業等に係る不利益取扱い」がそれぞれ2件、介護関係は、「介護休業等に係る不利益取扱い」が1件となっている。

最後に、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)が行った是正指導状況をみると、28年度は6772事業所を対象に雇用管理の実態把握を行い、そのうち何らかの育児・介護休業法違反が確認された6171事業所に対して2万1432件の是正指導を実施した。

是正指導の内訳は、育児関係(1万549件)では、「育児休業」が2406件(育児関係の是正指導の22.8%)と最も多く、次いで、「所定労働時間の短縮措置等(小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置)」1706件(同16.2%)、「所定労働時間の短縮措置等(3歳に満たない子を養育する労働者に関する措置)」1557件(同14.8%)、「子の看護休暇」1390件(同13.2%)、「時間外労働の制限」1172件(同11.1%)と続いている。

介護関係(7873件)では、「介護休業」が1825件(介護関係の是正指導の23.2%)と最も多く、次いで、「所定労働時間の短縮措置等(対象家族を介護する労働者に関する措置)」1756件(同22.3%)、「介護休暇」1208件(同15.3%)、「休業等に関するハラスメントの防止措置」868件(同11.0%)、「時間外労働の制限」717件(同9.1%)と続いている。