正社員化に向けた支援策を全省的に展開

厚生労働省は、正社員転換・待遇改善等の雇用対策を全省的に取り組むため、「正社員転換・待遇改善実現本部」(本部長・塩崎恭久厚生労働大臣)を立ち上げた。先頃開催された第1回会合では、今年度実施する緊急対策を取りまとめた。その主な内容は、ハローワークの窓口等で、非正規労働者の正社員転換・待遇改善につながる助成金の活用促進などを働きかけるキャンペーンを実施する。また、正社員転換等を加速化させるための「正社員転換・待遇改善実現プラン(5か年計画)」を来年1月に策定することとしている。

同本部は、「日本再興戦略」改訂2015(平成27年6月30日閣議決定)において、正社員転換や雇用管理改善の重要性が指摘され、非正規労働者の正社員転換等を加速させていくことが盛り込まれたことなどを踏まえて設置された。

同本部が決定した緊急対策では、①非正規労働者の正社員転換・待遇改善の実施についての経済界への要請、②「正社員転換・待遇改善キャンペーン」(27年10月~12月)の実施、③「不本意非正規対策・学卒正社員化キャンペーン」(28年1月~3月)の実施、④「正社員転換・待遇改善実現プラン(5か年計画)」の策定──を打ち出している。

その中で、年内に実施する「正社員転換・待遇改善キャンペーン」の具体的な取組みをみると、ハローワークにおいて、フリーター女性に配慮したキャリア・コンサルティングを実施するほか、団塊ジュニア世代を対象とした相談窓口を設置するとしている。

また、事業主への支援策では、「キャリアアップ助成金」の拡充による派遣労働者等の正社員転換、「多様な正社員」を新たに導入しようとする企業を対象としたコンサルティングやセミナーを実施する。さらに、派遣労働者の直接雇用・正社員化促進の取組みとして、改正労働者派遣法の経過措置期間中の専門26業務で働く派遣労働者について、無期転換・正社員化に向けた支援などを行う。

待遇改善に向けた支援では、最低賃金について幅広い周知を図るとともに、的確な監督指導を行う。また、最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための取組みを支援する。

来年1月から3月にかけて実施する「不本意非正規対策・学卒正社員化キャンペーン」では、新卒応援ハローワーク等において、ジョブサポーター等による個別支援を徹底するほか、就職面接会の積極的な開催、中小企業と大学生等とのマッチングなどを実施することとしている。

そして、来年1月に、正社員転換・待遇改善を加速化させるための今後5年間の具体的施策を示した「正社員転換・待遇改善実現プラン(5か年計画)」を策定する予定。