正社員中途採用で資格・検定を重視する傾向強い
(独)労働政策研究・研修機構(JILPT、菅野和夫理事長)は、「企業における資格・検定等の活用、大学院・大学等の受講支援に関する調査」の結果をまとめた。調査は、農林漁業・公務を除く常用労働者100人以上の企業約1万社を対象とし、平成26年1月から2月にかけて実施し、有効回答を得た1475社(有効回答率14.8%)について集計している。
調査結果をみると、採用に当たって資格・検定の所持を重視する企業割合は、正社員の新卒採用で20.0%、正社員の中途採用で37.3%、非正社員の採用で18.5%となっている。これを業種別にみると、医療・福祉で特に高く、正社員の新卒採用で75.6%、正社員の中途採用で85.4%、非正社員の採用で65.9%となっている。ほかでは、建設業の正社員の中途採用(74.2%)、教育・学習支援業の正社員の中途採用(53.6%)で高くなっている。
また、仕事に関する社外の資格・検定を今より積極的に活用していきたいと考えている企業割合は65.3%となっており、その理由としては(複数回答)、「専門性に対する従業員の意欲を高めることができる」が69.8%と最も多く、次いで、「従業員の仕事上の能力を客観的に評価できる」60.2%、「社外に対し従業員の職業能力をアピールできる」34.2%、「従業員の教育訓練がやりやすくなる」28.7%、「従業員が自分の能力を冷静に見直すのに有効」25.4%の順となっている。
一方、仕事に関する社外の資格・検定を今より積極的に活用していきたいと考えていない企業(全体の32.4%)について、その理由をみると(複数回答)、「自社の業務にあった適切な資格・検定がない」が35.1%と最も多く、次いで、「資格は職業能力の一部を証明するに過ぎない」31.6%、「資格取得が、従業員の成果につながっていない」22.4%、「資格・検定が乱立し、内容やレベルがわかりにくい」17.2%、「取得の支援に手間やコスト、時間がかかる」13.4%の順となっている。
重視している資格・検定の取得者をどのように確保しているかをみると、「業務命令で取得させる」とする回答割合が高かったのは、「玉掛け技能」(82.7%)、「クレーン・デリック運転士」(81.7%)、「フォークリフト技能者」(77.1%)など主に製造業や運輸業の業務を行う上で必要となる業務独占型の資格・検定や、「安全管理者」(64.6%)、「衛生管理者」(60.6%)のような法律で義務付けられている担当者が取得しなければならない資格・検定となっている。
一方、「自己啓発のために取得を奨励」とする回答割合が高かったのは、「中小企業診断士」(85.0%)、「オラクルマスター」(82.6%)、「マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト」(76.2%)、「応用情報技術者」(75.0%)など情報技術に関わる資格・検定や、「社会保険労務士」(73.8%)、「ファイナンシャルプランナー」(69.2%)など経営・財務系の資格・検定となった。また、「有資格者を採用」とする回答割合が高かったのは、「薬剤師」(96.3%)、「看護師」(88.2%)の医薬系の資格・検定となっている。
資格・検定を取得した従業員に対する人事管理上の措置についてみると、「昇進・昇格にあたって考慮する」とする回答割合が高かった資格・検定は、「技術士」(54.3%)、「施工管理技士」(49.4%)、「旅行業務取扱主任者」(45.8%)、「社内資格・検定」(44.0%)など、「配置や異動にあたって考慮する」とする回答割合が高かった資格・検定は、「ケアマネージャー」(60.0%)、「有機溶剤作業主任者」(44.3%)、「クレーン・デリック運転士」(43.7%)など、また、「月々の資格手当を支給」とする回答割合が高かった資格・検定は、「薬剤師」(63.0%)、「自動車整備士」(60.9%)、「宅地建物取引主任者」(54.5%)などとなった。