正社員の15%が疲労蓄積度「非常に高い」

厚生労働省は、過労死等に関する実態把握のための社会的側面からの調査研究報告書をまとめた。それによると、持ち帰り仕事がある者の割合は正社員34.5%、非正社員17.4%となっており、そのうちほぼ毎日持ち帰り仕事がある者が正社員12.4%、非正社員10.2%となっている。また、疲労蓄積度に関して、「非常に高い」者の割合は、正社員15.1%、非正社員8.3%、これを正社員の平均的な1週間当たりの残業時間別にみると、残業時間が20時間以上の者では、「非常に高い」者が43.9%という判定結果が明らかになった。

  •  この調査研究は、平成26年11月1日施行の過労死等防止対策推進法に基づき定められた「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成27年7月24日閣議決定)において、国が取り組むべき重点対策の1つとして示されている過労死等の実態把握のうち、社会的側面からの調査・分析を行ったもの。

    調査研究は、大きく分けて、①統計資料等の収集、整理等、②企業アンケート、③労働者アンケート──を行っている。

    その中から、労働者アンケート調査(対象:18歳~64歳の雇用労働者2万人。回収数1万9583件)の結果をみると、労働時間の把握方法は、「タイムカード、ICカード等の客観的な方法で把握されている」46.7%、「労働者の自己申告に基づいて把握されている」27.2%、「特に把握されていない」15.0%となっている。

    把握されている労働時間の正確性に関しては、「実労働時間は正確に把握されている」52.3%、「実労働時間は概ね正確に把握されている」33.5%、「実労働時間はあまり正確には把握されていない」10.3%、「実労働時間は全く正確に把握されていない」3.8%となった。

    平均的な1週間当たりの残業時間をみると、正社員では、「10時間以上20時間未満」が最も多く22.7%、次いで、「5時間以上10時間未満」20.5%、「0時間」15.9%、「1時間以上3時間未満」13.9%の順となっており、一方、非正社員では、「0時間」が最も多く33.1%、次いで、「1時間以上3時間未満」25.0%、「5時間以上10時間未満」13.5%、「3時間以上5時間未満」8.9%の順となっている。

    持ち帰り仕事の状況をみると、持ち帰り仕事がある者の割合は、正社員34.5%、非正社員17.4%となった。

    持ち帰り仕事がある場合の頻度は、正社員では、「月1回以下」25.0%、「週1回程度」16.7%、「月2~3回」15.5%、「月1回程度」13.4%、「ほぼ毎日」12.4%、「週2~3回」10.9%、「週3~4回」6.2%、一方、非正社員では、「月1回以下」30.4%、「週1回程度」15.8%、「月1回程度」13.1%、「月2~3回」12.8%、「週2~3回」10.8%、「ほぼ毎日」10.2%、「週3~4回」6.9%となっている。

    また、持ち帰り仕事がある場合の1ヵ月当たりの平均実作業時間は、正社員16.2時間、非正社員12.1時間となった。

    次に、疲労蓄積度についてみると(厚生労働省が平成16年に公表した「労働者の疲労蓄積度自己チェックリスト」により判定)、正社員の疲労蓄積度は、「低い」が最も多く46.2%、次いで、「やや高い」21.1%、「高い」17.7%、「非常に高い」15.1%、一方、非正社員は、「低い」59.3%、「やや高い」20.4%、「高い」12.0%、「非常に高い」8.3%となっている。

    これを正社員について業種別にみると、疲労蓄積度が「非常に高い」とする者の割合が最も高いのは、「宿泊業、飲食サービス業」(20.5%)、以下、「運輸業、郵便業」(18.8%)、「教育、学習支援業」(18.1%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(17.2%)、「医療、福祉」(17.2%)、「複合サービス事業」(15.7%)、「サービス業(他に分類されないもの)(15.3%)」と続いている。

    また、正社員の平均的な1週間当たりの残業時間別にみると、残業時間が長いほど疲労蓄積度が高い者が多くなる傾向にあり、疲労蓄積度が「非常に高い」とする者の割合は、残業時間が「1時間以上3時間未満」5.8%、同「3時間以上5時間未満」7.1%、同「5時間以上10時間未満」10.1%、同「10時間以上20時間未満」20.2%、同「20時間以上」43.9%となった。

    最後に、関連法令の認知度をみると、労働基準法については、「聞いたことがあり、内容もだいたい理解している」45.7%、「聞いたことはあるが、内容は理解していない」44.1%、「聞いたことはなかった、知らなかった」10.2%、過労死等防止対策推進法については、「聞いたことはあるが、内容は理解していない」51.2%、「聞いたことはなかった、知らなかった」31.1%、「聞いたことがあり、内容もだいたい理解している」17.8%となっている。