月100時間超の残業行う事業場の監督徹底を明記

政府は去る6月30日に、新たな成長戦略(「日本再興戦略」改訂2015-未来への投資・生産性革命-)を閣議決定した。

新たな成長戦略は、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)で定めた①日本産業再興プラン、②戦略市場創造プラン、③国際展開戦略──の3つのアクションプランにおける各政策項目ごとの成果指標及び政策の進捗状況を示し、新たに講ずべき具体的施策を掲げている。

その主な内容をみると、日本産業再興プランの中の「雇用制度改革・人材力の強化」では、多様な働き方の実現や若者・高齢者等の活躍推進などに関し、新たに講ずべき施策として、①働き方改革の実行・実現、②未来を支える人材力の強化、③予見可能性の高い紛争解決システムの構築等、④多様な雇用・就業機会の確保等──を掲げている。

具体的には、働き過ぎ防止のための取組強化として、今年1月から実施することとした月100時間を超える時間外労働を把握したすべての事業場等に対する監督指導を徹底するとした。

また、企業における有給休暇取得による4日以上の連休の実現の促進などの取組みを進めることを挙げている。

未来を支える人材力の強化に関しては、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」の制度化を打ち出している。新たな教育機関の教育プログラムは、職業実践の場において必要なスキルや知識を身に付け、その実践をもとに、学校で授業を受け、討議をすることを通じ、スキルや知識を体系化する「デュアル教育プログラム」を導入する。社会人が特定の知識やスキルを短期間に集中して効果的に学ぶことができる多様な教育プログラムの提供が可能な仕組みとするとしている。制度化にあたっては、関係省庁が連携し、2019年度の開学を目指すとした。

また、中高年人材の活用では、雇用保険制度を活用した育成型出向や試用就業の機能を持ったミドル層のインターンシップを支援する制度及び中高年人材の受入れ企業に対する助成措置の創設を明記した。

このほか、大学等におけるインターンシップについて、「学生のインターンシップ参加比率を飛躍的に高める」とし、そのために、インターンシップの単位化、数週間にとどまらない中長期のインターンシップ等を実施している大学等の取組みを促進するとともに、有給インターンシップや中小企業へのインターンシップを産学の連携により推進するとしている。

予見可能性の高い紛争解決システムの構築に関しては、「解雇無効時における金銭救済制度の在り方(雇用終了の原因、補償金の性質・水準等)とその必要性を含め、予見可能性の高い紛争解決システム等の在り方についての具体化に向けた議論の場を直ちに立ち上げ、検討を進め、結論を得た上で、労働政策審議会の審議を経て、所要の制度的措置を講ずる」と明記した。