是正支払額は2年ぶりに増加し約127億円に

厚生労働省は、平成28年度の賃金不払残業(サービス残業)の是正結果をまとめた。

今回まとめられたのは、全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成28年4月から29年3月までの期間に不払いだった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上の事案。

それによると、是正企業数は1349企業(前年度比1企業増)、対象労働者数は9万7978人(同5266人増)、支払われた割増賃金の合計額は127億2327万円(同27億2904万円増)となっている。支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり943万円、労働者1人当たり13万円となっている。なお、企業数は2年連続の増加、対象労働者数及び是正支払額は2年ぶりの増加となる。

また、1企業当たり1000万円以上の割増賃金が支払われた事案は、是正企業数が184企業(前年度同数)、対象労働者数が4万9830人(前年度比308人増)、支払われた割増賃金の合計額が91億3706万円(同25億2906万円増)となっている。

次に、業種別の状況をみると、企業数が最も多いのは商業の304企業(全体の22.6%)、次いで、製造業267企業(同19.8%)、その他の事業160企業(同11.9%)、保健衛生業158企業(同11.7%)、建設業134企業(同9.9%)の順となっている。

対象労働者数が最も多いのは、製造業の1万9447人(全体の19.7%)、次いで、保健衛生業1万7103人(同17.4%)、商業1万6779人(同17.1%)、その他の事業1万5175人(同15.5%)、建設業7688人(同7.8%)の順となった。

是正支払額が最も多いのは、商業の29億4885万円(全体の23.1%)、次いで、保健衛生20億6909万円(同16.2%)、製造業16億8367万円(同13.2%)、その他の事業16億2341万円(同12.8%)、建設業14億6157万円(同11.5%)、運輸交通業9億6095万円(同7.6%)の順となっている。