既存の認定制度活用し公共調達でWLB企業評価

公共調達においてワーク・ライフ・バランス等を推進する企業をより幅広く評価する枠組みについて検討していた内閣府の「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」(部会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)が報告書をまとめた。

ワーク・ライフ・バランスの推進と公共調達(国・地方公共団体等による職務遂行に必要なさまざまな物品・役務の調達)に関しては、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(平成22年6月29日仕事と生活の調和推進官民トップ会議)において、「公共調達において、契約の内容に応じ仕事と生活の調和に積極的に取り組む企業を評価する取組を推進する」とされている。

また、「女性活躍加速のための重点方針2015」(平成27年6月26日すべての女性が輝く社会づくり本部決定)では、企業のワーク・ライフ・バランスの取組みを促すインセンティブとして、公共調達において、ワーク・ライフ・バランス等を推進する企業を、より幅広く評価する枠組みの導入が位置付けられた。

同部会は、この重点方針を1つの契機に、公共調達におけるワーク・ライフ・バランス等を推進する企業等の評価の仕組みについて、昨年8月から議論を行ってきた。

報告書は、まず、基本的な考え方として、公共調達においてワーク・ライフ・バランス等を推進する企業を評価することは、最終的に事業の品質の確保・向上につながることも考えられること、また、公共調達における公正性、経済性の観点から、「ワーク・ライフ・バランス等を推進する企業が受注することがより望ましい場合においては、こうした企業を積極的に評価することが考えられる」としている。

そして、評価すべきワーク・ライフ・バランスの観点として、①週労働時間60時間以上の雇用者の割合、②月平均所定外労働時間、③年次有給休暇取得率の状況、④短時間正社員制度の導入の状況、⑤男性の育児休業取得率の状況──を例示している。

また、企業の範囲については、客観的にその取組みの状況が容易に把握できることが重要であるとし、法律等に基づくワーク・ライフ・バランスに関する既存の認定制度を活用することが有効としている。そのうえで、法律等に基づく各認定制度は、1つに限ることなく、複数の認定制度を活用することも必要とし、活用が考えられるものとして、女性活躍推進法に基づく認定制度、次世代育成法に基づく認定制度、青少年雇用促進法に基づく認定制度──を挙げている。

評価の仕組みについては、対象事業は、すべての事業でなく、例えば、総合評価落札方式や企画競争といった価格以外の要素を評価する事業について、契約の内容に応じて、ワーク・ライフ・バランス等を推進する企業を評価する項目を設けることなどが考えられるとしている。

そして、導入時期に関しては、女性活躍推進法に基づく認定が平成28年4月から開始することを踏まえ、28年度を目途に進めていくべきであるとし、その導入に当たっては、必要に応じ、導入時期、手法等を検討し、円滑に進むように十分な配慮が必要としている。