拠点を設け導入を希望する企業を支援
厚生労働省は、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組みである「セルフ・キャリアドック」の普及拡大を加速化させるための新事業を来年度実施する予定。この新事業は、28年度と29年度実施中の「セルフ・キャリアドック導入支援事業」を引き継ぐ形で行うもの。具体的には、29年度までの事業の成果を活用し、セルフ・キャリアドックの導入を希望する企業に対する相談や研修を行うほか、在職中の若者に対する職場定着やキャリアアップに向けた専門的なコンサルティングの機会を提供する。
「セルフ・キャリアドック」は、労働者のキャリア形成における「気づき」を支援するため、年齢、就業年数、役職等の節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設定する仕組み。同省では、「日本再興戦略」改訂2015(平成27年6月30日閣議決定)等に基づき、平成28年度から2ヵ年計画で「セルフ・キャリアドック導入支援事業」を実施している。
同事業では、様々な企業の課題に応じた効果的なセルフ・キャリアドックの導入システムを構築するために、セルフ・キャリアドック実施の素地と目的意識を有したモデル企業を選定し、先行的にセルフ・キャリアドックに取り組み、その成果・課題を検証し、セルフ・キャリアドック導入マニュアルの開発(29年度末までに作成予定)を進めている。また、今年11月には、モデル企業の取組事例を発表するセミナーを全国4都市で開催した。
来年度実施する新事業は、作成した導入マニュアルやモデル企業の事例・ノウハウを活用し、企業におけるセルフ・キャリアドックの普及拡大を加速化させるとともに、在職中の若者等に対する企業外での専門的なキャリアコンサルティングの機会を提供する。
主な事業内容は、東京と大阪の2ヵ所に拠点を設置して、企業内の人材育成・キャリア支援に精通したキャリアコンサルタントを配置し、セルフ・キャリアドックの普及拡大を加速するための支援を行う。具体的には、企業や事業主団体等を訪問して導入を勧奨し、導入を希望する企業に対する導入前から導入後も含めた相談支援や、専門家や先行導入企業等の協力による社内キャリアコンサルタント等を対象とした研修を行う。また、各企業においてセルフ・キャリアドックの実施を担当するキャリアコンサルタントの紹介なども行う。
このほか、安易な早期離職を志向するなど企業内における対応が難しい者や、中小企業に在籍するなど企業内でキャリアコンサルティングの機会を得ることが難しい者に対して、職場定着やキャリアアップに向けた専門的なコンサルティングの機会をIT技術の利用も含めて幅広く提供する。