引上げ行った企業は前年上回る89.7%

厚生労働省は、平成30年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果をまとめた。

この調査は、常用労働者100人以上(製造業、卸売業、小売業は30人以上)の民営企業約3500社を対象に実施している。今回まとめられたのは、そのうち常用労働者100人以上の企業1578社について。

調査結果によると、平成30年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」企業割合は0.4%(同0.2%)、「賃金の改定を実施しない」企業割合は5.9%(同6.3%)となっている。前年と比べると、賃金の引上げを行った企業の割合が1.9ポイント上昇し、賃金の改定の内訳について調査を開始した平成11年以降で最も高くなった。

次に、30年中における賃金の改定状況(実施予定を含む)をみると、1人平均賃金の改定額が5675円(前年5627円)、1人平均賃金の改定率が2.0%(同2.0%)となった。

これを企業規模別にみると、改定額は、5000人以上が7109円(前年6896円)、1000~4999人が5645円(同5186円)、300~999人が5247円(同5916円)、100~299人が5039円(同4847円)となっている。改定率については、5000人以上が2.2%(前年2.1%)、1000~4999人が1.9%(同1.8%)、300~999人が1.9%(同2.1%)、100~299人が1.9%(同1.9%)となった。

ベースアップ等の実施状況をみると、賃金改定を実施しまたは予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業のうち、「定期昇給制度がある企業」(管理職では全企業の78.3%、一般職では同85.1%)について、ベースアップ等の実施状況は、「定期昇給とベースアップ等の区別あり」は、管理職で60.9%(前年61.4%)、一般職で63.4%(同64.2%)となっている。そのうち「ベースアップを行った・行う」は、管理職で24.2%(前年22.9%)、一般職で29.8%(同26.8%)となった。

賃金カットの実施状況についてみると、賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業のうち、30年中に賃金カットを実施または予定している企業は6.1%(前年6.3%)となっている。これを賃金カットの対象者別にみると、「管理職のみ」23.4%(前年26.8%)、「一般職のみ」28.1%(同24.4%)、「管理職一部」と「一般職一部」46.3%(同47.9%)などとなった。

賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定にあたり最も重視した要素をみると、「企業の業績」が50.4%(前年55.0%)と最も多く、ほかでは、「重視した要素はない」(16.3%)を除くと、「労働力の確保・定着」9.0%(前年8.7%)、「雇用の維持」7.0%(同3.9%)、「親会社又は関連(グループ)会社の改定の動向」5.5%(同4.6%)、「世間相場」4.5%(同5.1%)、「前年度の改定実績」2.5%(同4.0%)、「労使関係の安定」2.1%(同1.4%)などとなっている。