引上げ行った企業は前年上回る87.8%に

厚生労働省は、平成29年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果をまとめた。

この調査は、常用労働者100人以上(製造業、卸売業、小売業は30人以上)の民営企業約3500社を対象に実施している。今回まとめられたのは、そのうち常用労働者100人以上の企業1606社について。

調査結果によると、平成29年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は87.8%(前年86.7%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」企業割合は0.2%(同0.8%)、「賃金の改定を実施しない」企業割合は6.3%(同7.1%)となっている。前年と比べると、賃金の引上げを行った企業の割合が上昇し、賃金の引下げを行った企業及び賃金の改定を実施しない企業の割合が低下している。

次に、29年中における賃金の改定状況(実施予定を含む)をみると、1人平均賃金の改定額が5627円(前年5176円)、1人平均賃金の改定率が2.0%(同1.9%)となっており、改定額、改定率ともに前年を上回った。

これを企業規模別にみると、改定額は、5000人以上が6896円(前年5683円)、1000~4999人が5186円(同5434円)、300~999人が5916円(同5319円)、100~299人が4847円(同4482円)となっている。改定率は、5000人以上が2.1%(前1.9%)、1000~4999人が1.8%(同1.8%)、300~999人が2.1%(同2.0%)、100~299人が1.9%(同1.8%)となっている。

ベースアップ等の実施状況をみると、賃金の改定を実施しまたは予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業のうち、「定期昇給制度がある企業」(管理職では全企業の75.9%、一般職では同82.8%)におけるベースアップ等の実施状況は、「定期昇給とベースアップ等の区別あり」は、管理職で61.4%(前年57.8%)、一般職で64.2%(同58.9%)となっている。そのうち「ベースアップを行った・行う」は、管理職で22.9%(前年17.8%)、一般職で26.8%(同23.3%)となっている。

賃金カットの実施状況についてみると、賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業のうち、29年中に賃金カットを実施または予定している企業は6.3%(前年10.7%)となっている。これらについてその対象者別にみると、「管理職のみ」26.8%(前年40.3%)、「一般職のみ」24.4%(同17.4%)、「管理職一部」と「一般職一部」47.9%(同35.8%)となっており、一般職全員は該当がなかった。

賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定にあたり最も重視した要素をみると、「企業の業績」が55.0%(前年51.4%)と最も多く、ほかでは、「重視した要素はない」(13.1%)を除くと、「労働力の確保・定着」8.7%(前年11.0%)、「世間相場」5.1%(同4.2%)、「親会社又は関連(グループ)会社の改定の動向」4.6%(同5.9%)、「世間相場」4.2%(同3.6%)、「前年度の改定実績」4.0%(同2.7%)、「雇用の維持」3.9%(同4.6%)などとなっている。