建設業の人材確保等で3項目を重点に概算要求
厚生労働省と国土交通省は、建設業の人材確保・育成に向けた平成29年度予算概算要求事項の概要を取りまとめた。
建設業では、就労する技能労働者の3分の1が55歳以上となっており、他の産業と比べて高齢化が進行している。両省では、こうした建設業での現状認識の共有や相互の施策を支援するなど、これまでも連携した取組みや検討を行っている。そして、今後も引き続き両省で連携して施策等を実施し、建設業での重要課題となっている人材の確保・育成を進めていくため、29年度予算概算要求において、所要の要求を行っている。
それによると、①人材確保、②人材育成、③魅力ある職場づくり──の3つの重点事項で概算要求を取りまとめている。
その中から、厚生労働省関係の主な内容をみると、人材確保に関しては、「建設労働者確保育成助成金」による支援に52億円、ハローワークにおける建設人材確保プロジェクトの推進に1億5000万円を要求している。具体的には、中小建設事業主が、若年者(35歳未満)や女性を対象として、トライアル雇用を行った場合の支援措置である奨励金に上乗せを行う助成制度を創設する。また、若年・女性労働者の入職定着促進に取り組む事業主・団体に対する助成について、中小企業以外への適用拡大を行うほか、助成対象メニューの追加を行う。
ハローワークにおける建設人材確保プロジェクトの推進では、プロジェクト実施地域を建設関係職種の求人数が多い地域で、かつ、特に求人倍率が高く、充足率が低い地域に集中化させるとともに、これらの地域には、求職者に対する専門相談員を新たに配置する。
人材育成に関しては、建設分野における公的職業訓練の拡充に4億7000万円、ものづくりマイスター制度による若年技能者への実技指導に34億円を要求する。公的職業訓練の拡充では、建設機械等の運転技能だけでなく、パソコンスキル講習等と組み合わせた「総合オペレーション科」を引き続き実施する。
魅力ある職場づくりの推進に関しては、雇用管理責任者等に対する研修等の実施に1億1000万円、雇用管理制度導入に係るコンサルティング支援に4億3000万円を要求している。具体的には、雇用管理に関する基礎的な知識を習得する「基礎講習」に加え、若年者の職場定着を高めるため、熟練労働者と若年労働者とが円滑なコミュニケーションを取りながら働くことのできる環境づくりの手法等を学ぶ「コミュニケーションスキル等向上コース」を建設業の雇用管理責任者に対して実施する。
なお、国土交通省関係の主な内容は、①社会保険等未加入対策のさらなる推進(3600万円要求)、②技能者のキャリアパスの見える化に向けた検討(4300万円要求)、③「建設業女性定着モデル」推進パッケージ(8100万円要求)、④建設産業生産性向上支援事業(2億2000万円要求)、⑤多様な入札契約方式の導入・活用促進等の「担い手3法推進サイクル」の強化(8100万円要求)──などとなっている。