度数率は前年よりやや上昇、強度率は横ばい

厚生労働省は、平成26年「労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)」の結果をまとめた。

 この調査は、労働災害の発生状況に関し、災害の発生頻度や重さの程度について調べたもの。調査対象は、事業所調査は常用労働者10人以上の民・公営事業所約3万2000事業所、総合工事業は労災保険の概算保険料が160万円以上または工事の請負金額が1億9000万円以上の工事現場延べ5000工事現場(有効回答率:事業所調査67.1%、総合工事業調査:85.2%)。なお、今回の結果では、100人以上の労働者がいる9873事業所及び総合工事業の延べ4533工事現場について集計している。

 まず、事業所調査の結果をみると、度数率(100万延べ労働時間あたりの労働災害による死傷者数で、災害の発生頻度を表す)は1.66(前年1.58)、強度率(1000延べ実労働時間あたりの労働損失日数で、災害の重さの程度を表す)は0.09(前年0.10)となっている。また、死傷者1人平均の労働損失日数は56.4日(前年63.2日)となっている。

 産業別にみた度数率、強度率は、度数率が最も高いのは、「生活関連サービス業、娯楽業」(一部の業種に限る)の4.41(前年4.76)、次いで、「農業、林業」4.36(同4.65)、「運輸業、郵便業」3.34(同3.10)、「宿泊業、飲食サービス業」(旅館、ホテルに限る)3.14(同3.38)、「サービス業(他に分類されないもの)」(一部の業種に限る)2.99(同3.37)の順となっている。強度率が最も高いのは、「運輸業、郵便業」の0.25(前年0.18)、次いで、「建設業」(総合工事業を除く)0.20(同0.29)、「農業、林業」0.16(同0.09)、「生活関連サービス業、娯楽業」(一部の業種に限る)0.10(同0.26)、「サービス業(他に分類されないもの)」(一部の業種に限る)0.10(同0.26)の順となっている。

 事業所規模別にみると、「1000人以上」では、度数率が0.47(前年0.49)、強度率が0.04(同0.04)、「500~999人」では、度数率が1.07(同1.00)、強度率が0.04(同0.05)、「300~499人」では、度数率が1.58(同1.52)、強度率が0.09(同0.08)、「100~299人」では、度数率が2.26(同2.10)、強度率が0.13(同0.14)となっており、度数率、強度率ともに事業所規模が小さくなるほど高くなっている。

 次に、総合工事業(工事現場)についてみると、度数率が0.91(前年0.25)、強度率が0.07(同0.23)となっている。また、死傷者1人平均の労働損失日数は81.8日(前年180.0日)となっている。

 これを工事の種類別にみると、土木工事業は度数率が0.88(前年1.05)、強度率が0.03(同0.55)、建築事業は度数率が0.92(同1.30)、強度率が0.08(同0.15)となっている。