度数率、強度率ともに前年よりやや低下する

厚生労働省は、平成27年「労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)」の結果をまとめた。

この調査は、労働災害の発生状況に関し、災害の発生頻度や重さの程度について調べたもの。調査対象は、事業所調査は常用労働者10人以上の民・公営事業所約3万2000事業所、総合工事業は労災保険の概算保険料が160万円以上または工事の請負金額が1億9000万円以上の工事現場延べ5000工事現場(有効回答率:事業所調査69.6%(事業所規模100人以上の事業所)、総合工事業調査:82.9%)。なお、今回の結果では、100人以上の労働者がいる1万118事業所及び総合工事業の延べ4435工事現場について集計している。

まず、事業所調査の結果をみると、度数率(100万延べ労働時間あたりの労働災害による死傷者数で、災害の発生頻度を表す)は1.61(前年1.66)、強度率(1000延べ実労働時間あたりの労働損失日数で、災害の重さの程度を表す)は0.07(前年0.09)となった。また、死傷者1人平均の労働損失日数は41.0日(前年56.4日)となっている。

産業別にみた度数率、強度率は、度数率が最も高いのは、「農業、林業」の4.68(前年4.36)、次いで、「生活関連サービス業、娯楽業」(一部の業種に限る)3.92(同4.41)、「宿泊業、飲食サービス業」(旅館、ホテルに限る)3.40(同3.14)、「運輸業、郵便業」3.20(同3.34)、「サービス業(他に分類されないもの)」(一部の業種に限る)2.85(同2.99)の順となった。

強度率が最も高いのは、「生活関連サービス業、娯楽業」(一部の業種に限る)の0.31(前年0.10)、次いで、「運輸業、郵便業」0.16(同0.25)、「農業、林業」0.09(同0.16)、「サービス業(他に分類されないもの)」(一部の業種に限る)0.09(同0.10)、「宿泊業、飲食サービス業」(旅館、ホテルに限る)0.07(同0.08)の順となった。

事業所規模別にみると、「1000人以上」では、度数率が0.39(前年0.47)、強度率が0.03(同0.04)、「500~999人」では、度数率が1.06(同1.07)、強度率が0.04(同0.04)、「300~499人」では、度数率が1.52(同1.58)、強度率が0.09(同0.09)、「100~299人」では、度数率が2.20(同2.26)、強度率が0.08(同0.13)となっており、総じて度数率、強度率ともに事業所規模が小さくなるほど高くなっている。

次に、総合工事業(工事現場)についてみると、度数率が0.92(前年0.91)、強度率が0.21(同0.07)となっている。また、死傷者1人平均の労働損失日数は227.1日(前年81.8日)となった。

これを工事の種類別にみると、土木工事業は度数率が1.37(前年0.88)、強度率が0.93(同0.03)、建築事業は度数率が0.85(同0.92)、強度率が0.09(同0.08)となっている。