年間総労働時間減少するも所定外は増加に転じる

厚生労働省は、毎月勤労統計調査の平成29年分結果(確報)をまとめた。それによると、年間総実労働時間は1721時間となり、比較可能な平成2年以降で最少となった28年(1724時間)をさらに下回った。年間総実労働時間のうち、所定内労働時間は5年連続減少の1590時間、一方、所定外労働時間は3年ぶりに増加し131時間となった。

この調査は、常用労働者(パートタイム労働者を含む)5人以上の事業所約3万3000ヵ所を対象に実施している。

まず、賃金についてみると、平成29年の1人平均月間現金給与総額は31万6966円(前年比0.4%増)となり、4年連続で増加した。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は26万776円(前年比0.4%増)で3年連続の増加となった。また、所定内給与は前年比0.4%増の24万1216円、所定外給与は同0.4%増の1万9560円、特別に支払われた給与(夏冬の賞与など)は同0.4%増の5万6190円となっている。

そして、実質賃金は、消費者物価の上昇により前年比0.2%減となり、2年ぶりに減少に転じた。

また、主な産業別の現金給与総額は、建設業38万9037円(前年比0.7%増)、製造業38万3658円(同1.3%増)、卸売業、小売業27万4008円(同0.5%増)、飲食サービス業等12万4059円(同2.1%減)、生活関連サービス等20万7107円(同1.6%増)などとなっている。

次に、労働時間についてみると、1人平均月間総実労働時間は143.4時間(前年比0.3%減)となった。総実労働時間のうち、所定内労働時間は132.5時間(前年比0.4%減)、所定外労働時間は10.9時間(同1.0%増)となっている。

この結果、年間総実労働時間(年平均の月間総実労働時間を12倍して年換算したもの。小数点以下第一位を四捨五入)は1721時間となり、前年(1724時間)より3時間減少した。年間総実労働時間のうち、所定内労働時間は1590時間、所定外労働時間は131時間(総実労働時間の年換算値から所定内労働時間の年換算値を差し引いたもの)となっている。年間総実労働時間及び所定内労働時間は5年連続の減少、所定外労働時間は3年ぶりの増加となった。

所定外労働時間の対前年比を産業別にみると、鉱業、採石業等(16.0%減)、電気・ガス業(13.1%減)、情報通信業(6.8%減)、複合サービス事業(4.5%減)、生活関連サービス等(4.5%減)などでは減少しているが、教育、学習支援業(12.5%増)、運輸業、郵便業(6.3%増)、建設業(5.4%増)、製造業(3.1%増)などでは増加している。

なお、事業所規模30人以上(調査対象事業所数約1万6500ヵ所。平成元年以前の調査は事業所規模30人以上)の年間総実労働時間は1781時間で前年(1783時間)より2時間減少した(うち所定内労働時間が1630時間、所定外労働時間が151時間)。