常時介護の場合の上限は16万5150円に

 厚生労働省は、労災保険の介護(補償)給付の最高限度額及び最低保障額をこの4月から大幅に引き上げる。介護(補償)給付は、労働災害による負傷等により、一定の障害を負って介護を要する状態となった労働者に対して、介護に要した費用を月単位で支給するもの。改定後の最高限度額は、常時介護の場合が16万5150円(改定前10万5290円)、随時介護の場合が8万2580円(同5万2650円)、最低保障額は、常時介護の場合が7万790円(同5万7190円)、随時介護の場合が3万5400円(同2万8600円)となっている。

 介護(補償)給付の支給要件は、①一定の障害の状態(要介護障害程度区分表=労災保険法施行規則別表第三)に該当すること、②現に介護を受けていること、③病院または診療所に入院していないこと、④老人保健施設、介護医療院、障害者支援施設(生活介護を受けている場合に限る)、特別養護老人ホーム、原子爆弾被爆者特別養護ホームに入所していないこと──となっている。

給付額には、常時介護を要する者と随時介護を要する者の区分ごとに最高限度額・最低保障額が設けられており、改定前は、常時介護の場合は、最高限度額が10万5290円、最低保障額が5万7190円、随時介護の場合は、最高限度額が5万2650円、最低保障額が2万8600円となっていた(額はいずれも月額。以下同じ)。

これまで、最高限度額については、介護費用の実費補填という観点から、臨時職員を採用する際の政府統一単価を参考に算定し、最低保障額については、被災労働者が介護を要する状態にならなければ親族等が獲得できたであろう賃金の保障という観点から、女子パート労働者の平均賃金を参考に算定し、それぞれ人事院勧告に基づく国家公務員給与のベア率の変動に応じて見直しを行っていた。

こうした中、今回の見直しは、同省が平成29年に実施した「労災保険制度における介護(補償)給付に関する状況調査」において、現在の最高限度額では介護費用をまかなえない受給者が相当数存在することが明らかになったことなどから、最高限度額については特別養護老人ホームの介護職員の平均基本給を参考に、最低保障額については最低賃金の全国加重平均を参考にして見直したもの。

改定後の最高限度額は、常時介護の場合が16万5150円、随時介護の場合が8万2580円、最低保障額は、常時介護の場合が7万790円、随時介護の場合が3万5400円となっている。

なお、改定後の最高限度額及び最低保障額は、平成31年4月1日から適用されることになっている。