就職促進給付・介護休業給付を拡充

65歳以後の新規雇用者への雇用保険の適用、介護休業の分割取得の導入など、労働関係6法の一括改正を内容とした「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が1月29日、国会に提出された。法案の中心となる雇用保険法改正では、高年齢者への雇用保険適用拡大のほか、就職促進給付の拡充、介護休業給付の給付率の引上げなどを行う。育児・介護休業法改正では、介護休業の3回までの分割取得を可能とし、また、育児休業の申出ができる有期契約労働者の要件緩和などを行う。改正法は平成27年度中の成立が見込まれている。

  •  法案には、①雇用保険法、②労働保険徴収法、③高年齢者雇用安定法、④男女雇用機会均等法、⑤労働者派遣法、⑥育児・介護休業法──の計6本の法律改正が盛り込まれている。

    その主な内容は、雇用保険法の改正では、65歳に達した日以後に新たに雇用される者について雇用保険の適用対象とし、高年齢求職者給付金、就業促進手当、教育訓練給付金、育児休業給付金、介護休業給付金などの支給対象とするとしている。

    また、就職促進給付の拡充として、失業等給付の受給者が早期に再就職した場合に支給される就業促進手当の支給額を、基本手当の3分の1以上を残した場合は支給残日数の60%(現行50%)、基本手当の3分の2以上を残した場合は支給残日数の70%(同60%)に引き上げる。

    このほか、介護休業給付金の額について、当分の間、賃金日額の67%(現行40%)に引き上げるなどとしている。

    次に、労働保険徴収法の改正では、雇用保険率について、一般の事業にあっては1000分の15.5(うち失業等給付に係る率1000分の12)、農林水産業及び清酒製造業にあっては1000分の17.5(同1000分の14)、建設業にあっては1000分の18.5(同1000分の15)とするとしている(それぞれ1000分の2の引下げ。本誌第1879号参照)。

    また、厚生労働省令で定める年齢(64歳)以上の雇用保険の被保険者を対象とした保険料免除措置を廃止するとしている。

    高年齢者雇用安定法の改正では、地方公共団体、シルバー人材センター、事業主団体等は、地域の実情に応じた高年齢者の多様な就業機会の確保の方策について協議を行う協議会を組織できるとしている。そして、地方公共団体は、協議会の協議を経て「地域高年齢者就業機会確保計画」を策定し、厚生労働大臣に協議し、その同意を求めることができることとしている。

    また、シルバー人材センターの取扱業務について、都道府県知事が市町村ごとに指定する業種・職種(厚生労働省令で定める基準に適合するもの)においては、有料の職業紹介事業または労働者派遣事業に限り、臨時的・短期的または軽易な業務に係る就業に加え、高年齢退職者の能力を活用して行う業務を扱うとしている(告示等で週40時間までの就業可能を規定する予定)。

    男女雇用機会均等法の改正では、産前産後休業等の取得や妊娠・出産したことなどについての女性労働者に対する言動による就業環境を害する行為を防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付けることとしている。

    育児・介護休業法の改正では、育児休業の対象となる子の範囲を拡大し、特別養子縁組の監護期間にある子等を含める。また、育児休業の申出ができる有期契約労働者の要件を、継続雇用期間が1年以上で、子が1歳6ヵ月に達する日までにその労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者──に緩和するとしている。

    介護休業関係の改正としては、93日を限度として、対象家族1人につき3回の介護休業を可能とする制度とする。また、事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定外労働をさせてはならないこととする新たな仕組みを設ける。このほか、介護休暇の取得について、1日未満の単位(厚生労働省令で半日等を規定する予定)での取得を可能とするなどとしている。

    なお、改正法の施行期日は、高年齢者雇用安定法の改正、雇用保険率の引下げなどは平成28年4月1日、介護休業給付金の額の引上げは28年8月1日、雇用保険の適用対象の拡大、就職促進給付の拡充、育児・介護休業制度の改正、男女雇用機会均等法の改正、労働者派遣法の改正などは29年1月1日、64歳以上の者を対象とした雇用保険料免除措置の廃止は32年4月1日となっている。