就業促進を図るため基本手当など拡充
雇用保険法、職業安定法など労働関係の4法を一括改正する改正雇用保険法等がさる3月31日成立し、一部が4月1日に施行された。改正法は、雇用保険の賃金日額及び30歳以上45歳未満の者の所定給付日数の引上げなど基本手当を拡充している。また、労働契約を締結しようとする場合であって、職業紹介時等に明示した労働条件を変更する場合等に、求人者等に、求職者等への変更内容等の明示を義務付けている。このほか、失業等給付に係る雇用保険料率を平成29年度から31年度までは1000分の2引き下げている。
改正法は、①雇用保険法、②職業安定法、③労働保険徴収法、④育児・介護休業法──の4つの法律を改正するものとなっている。
その主な内容は、雇用保険法の改正では、賃金日額の下限額を2460円に引き上げ、上限額については、受給資格者の年齢が①60歳以上65歳未満は1万5590円、②45歳以上60歳未満は1万6340円、③30歳以上45歳未満は1万4850円、④30歳未満は1万3370円──に引き上げている。
また、被保険者期間が1年以上5年未満の特定受給資格者の所定給付日数について、35歳以上45歳未満は150日(改正前90日)、30歳以上35歳未満は120日(同90日)に拡充した。
このほか、育児休業給付金の支給期間の延長(育児休業制度の改正を踏まえた改正)、教育訓練給付の最大給付率の引上げ、移転費の支給対象に特定地方公共団体または職業紹介事業者の紹介により就職する場合を追加するなどの改正を行っている。
次に、職業安定法の改正では、労働契約を締結しようとする場合であって、職業紹介時等に明示した労働条件を変更する場合等に、求人者等に、求職者等への変更内容等の明示を義務付けている。
また、公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者が受理しないことができる求人申込みに、暴力団員等によるもの等を追加している。
労働保険徴収法の改正では、平成29年度から平成31年度までの各年度における雇用保険率について、一般の事業は1000分の13.5(うち失業等給付に係る率1000分の10)、農林水産業及び清酒製造業は1000分の15.5(同1000分の12)、建設業は1000分の16.5(同1000分の12)に引き下げた。
なお、平成29年度の雇用保険料率については、法定の料率を厚生労働大臣が変更することができる仕組み(いわゆる弾力条項)の発動により、一般の事業が1000分の9(28年度1000分の11)、農林水産・清酒製造業が1000分の11(同1000分の13)、建設時事業が1000分の12(同1000分の14)となっている。
育児・介護休業法の改正では、育児休業について、一定の場合(子が1歳6ヵ月に達した時点で保育所に入れない等)に2歳まで取得することを可能としたほか、事業主に、育児目的のために利用できる休暇を設ける努力義務を課した。
なお、改正規定の施行期日は、雇用保険の賃金日額の上・下額の引上げは平成29年8月1日、特定受給資格者の所定給付日数の拡充等は29年4月1日、育児休業給付金の改正は29年10月1日、移転費の改正は30年1月1日、職業安定法の労働条件等の明示については30年1月1日、求人申し込みの不受理については公布日から起算して3年以内で政令で定める日、労働保険徴収法の改正は29年4月1日、育児・介護休業法の改正は29年10月1日となっている。