就労参加促す効率的な人員配置・業務遂行が必要

厚生労働省は、「平成27年版労働経済の分析」(通称・労働経済白書)をまとめた。今年の白書は、我が国の経済活力を維持・向上させていくためには、少子高齢化の中で労働力の減少という供給制約を克服し、持続的な賃金の上昇を可能とする取組みが必要という観点から、「労働生産性と雇用・労働問題への対応」をテーマに分析を行っている。

白書は4部構成で、第1章「労働経済の推移と特徴」では、一般経済、雇用・失業等、物価、賃金、消費──について、平成26年度の動向を中心に分析している。

そして、第2章では「経済再生に向けた我が国の課題」、第3章では「より効率的な働き方の実現」、第4章では「人口減少下における地域経済の在り方」について分析している。

その中で、より効率的な働き方の実現について白書は、今後、少子高齢化が進む中、様々な背景・事情がある中でより多くの就労参加が重要となり、そのためには柔軟で多様な働き方の実現が必要と指摘している。しかし、一般労働者の労働時間が減少していない現状では、就労参加を促すことは難しいとしている。

そのうえで、「長時間労働の削減に向けて、他律的な要因に対しては自社、労働者個人での対応は難しい面があるが、国民運動を展開するとともに、需要の繁閑の分析を通じた効率的な人員配置や、外部から影響が受けにくいビジネスモデルへの転換などの工夫を行うこと、効率的な作業、ムダの排除のためには職場における上司、部下の間での求める成果の水準、進め方などについてすりあわせ、コミュニケーションを図っていくことが必要と考えられる」としている。

また、「長時間労働削減は労働者にとってだけではなく、企業にとっても意義のあるものである」とし、所定外労働削減のためには、IT投資の活用も1つの方策であると指摘し、「働き方の改善のためにも今後更なるIT投資とその有効な活用が必要であることが示唆される」としている。

そして、労働時間を削減しつつ、生産活動を維持・向上していくためには、「労働生産性の向上や労働投入の増加が必要となり、労働生産性の向上のためには付加価値を高めることや人材育成が重要である」と指摘している。さらに、労働投入を増やす方策としては、追加就業希望者が参加できるようにすること、さらには、勤務時間・休日などが希望とあうような多様な働き方を提供していくことが必要と考えられるとしている。