対象業務は5種類、年収要件は1075万円に

 労働政策審議会(会長・樋口美雄(独)労働政策研究・研修機構理事長)は12月26日、同14日に厚生労働省から諮問されていた働き方改革法による改正後の労働基準法で新設される高度プロフェッショナル制度(通称・高プロ制度)の関係規定を整備する労働基準法施行規則の改正等について、諮問案を「おおむね妥当と考える」とする答申を取りまとめ、根本厚労相に提出した。それによると、高プロ制度の対象業務は、金融商品の開発の業務、コンサルタントの業務など5種類とし、年収要件は1075万円(以上)としている。

 今年4月1日施行の改正労働基準法により新たに設けられた高プロ制度は、職務の範囲が明確で一定の年収要件を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、年104日の休日取得などの健康確保措置を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金などの規定を適用除外するもの。

対象業務や対象労働者の年収要件、健康確保措置などの具体的内容については、厚生労働省令(労働基準法施行規則)で規定することになっている。

諮問・答申された労働基準法施行規則の改正案によれば、対象業務は、①金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務、②資産運用(指図を含む。以下同じ)の業務または有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務または投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務(金融商品のディーリング業務)、③有価証券市場における相場等の動向または有価証券の価値等の分析、評価またはこれに基づく投資に関する助言の業務(アナリストの業務)、④顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査または分析及びこれに基づく当該事項に関する考案または助言の業務(コンサルタントの業務)、⑤新たな技術、商品または役務の研究開発の業務──の5つとなっている。

また、対象労働者の年収要件は1075万円(以上)としている。

使用者の実施義務となる健康確保のための選択的措置に関しては、①インターバル措置の時間は11時間・深夜業の回数は1ヵ月4回(以内)、②健康管理時間(在社時間と事業外労働時間の合計)の上限は、健康管理時間が週40時間を超えた場合は、1ヵ月100時間・3ヵ月240時間、③臨時の健康診断実施の要件は、健康管理時間が週40時間を超える時間が1ヵ月80時間を超えたことまたは対象労働者からの申出があったこと──としている。

次に、労働安全衛生規則の改正案は、高プロ制度の対象業務に従事する労働者に対する医師による面接指導等に係る事項について、産業医の職務及び産業医に対し情報提供する事項に追加するとしている。

また、高プロ制度の対象業務に従事する労働者に対する医師による面接指導の実施要件は、健康管理時間が週40時間を超える時間が1ヵ月当たり100時間としている。

同省は、答申を踏まえて速やかに省令等を制定する予定。