宿泊・飲食業や運輸業では約8割が「人手不足」
日本商工会議所(三村明夫会頭)は、「人手不足等への対応に関する調査」の結果をまとめた。調査は、全国の中小企業4108社を対象に今年3月から4月にかけて実施し、回答を得た2673社について集計している(回答率65.1%)。
調査結果をみると、人員の過不足状況について、「不足している」と回答した企業割合は65.0%で、昨年の調査(60.6%)に比べ4.4ポイント上昇し、人手不足感が強まっている。
業種別にみた「不足している」とする企業割合は、「宿泊・飲食業」が79.1%(2017年83.8%)と最も高く、次いで、「運輸業」78.2%(同74.1%)、「建設業」75.6%(同67.7%)、「その他サービス」68.2%(同64.1%)、「介護・看護」68.0%(同70.0%)、「情報通信・情報サービス業」64.3%(同62.3%)、「その他(医療、産業廃棄物業等)」(同59.4%)、「製造業」59.1%(同55.3%)、「卸売・小売業」57.8%(同56.6%)、「金融・保険・不動産業」51.0%(同50.0%)となっており、「宿泊・飲食業」と「介護・看護」では不足割合が若干改善したが、他の業種は全て悪化している。
また、従業員規模別にみると、10人以下及び301人以上の企業では「不足している」とする割合が昨年と比べ減少しているが、11~300人の企業では「不足している」とする割合が増加し、11~20人では57.3%(2017年54.7%)、21~50人では64.8%(同58.4%)、51~100人では70.7%(同63.7%)、101~300人では78.5%(同71.9%)となった。
人手が不足している企業での人員が充足できない理由をカテゴリー別にみてみると(複数回答)、『そもそも採用できない』では、「自社の立地する地域に求めている人材がいない」(56.8%)が圧倒的に高く、以下、「募集のためのノウハウ不足」(26.5%)、「人材採用に関する公的支援の認知度、機能等が不十分」(17.3%)が続いている。『自社の処遇や制度、魅力』では、「自社が属する産業・職種に魅がない」(42.9%)、「自社の働き方に魅力がない」(34.4%)、「自社の賃金が低い(基本給やボーナスなど)」(33.5%)が上位を占めている。『ミスマッチ、定着しない等』では、「入社した人材がミスマッチを感じて退職してしまう」36.2%、「自社が求めていた能力・知識・経験を有する人材ではなかった」29.6%、「採用した人材の能力・知識・経験が期待を下回り、成果が上がらない」28.1%などとなった。
人手が不足している企業が事業活動を維持するために講じている取組みをみると(複数回答)、「既存の業務を効率化する(ICT化、標準化等)」が45.4%と最も多く、次いで、「残業・休日出勤等で対応」39.6%、「社員教育の強化・社員の能力向上」36.3%、「社員のモチベーションを上げる処遇体系へ見直し」34.5%、「経営者や管理職が作業を補う」33.9%、「不必要な業務をやめる(アウトソーシングを含む)」23.7%の順となっている。