外国人労働者にもモデル労働条件通知書の活用を

厚生労働省は、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(通称・外国人雇用管理指針)を12年ぶりに大幅に改正する。

この指針は、労働施策総合推進法(旧雇用対策法)に基づくもので、外国人労働者を雇用する事業主が実施すべき雇用管理上の事項に関して、事業主が適切に対処できるよう、事業主が講ずべき必要な措置を定めているもの。今回の改正は、平成31年4月1日から、働き方改革関連法による改正労働基準法、改正労働安全衛生法が本格施行となること、また、同日施行の改正入管法により、新たな外国人材受入れ制度が創設されたことなどを踏まえたもの。

改正指針では、外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が講ずべき必要な措置として、①外国人労働者の募集及び採用の適正化、②適正な労働条件の確保、③安全衛生の確保、④労働・社会保険の適用等、⑤適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等、⑥解雇等の予防及び再就職の援助、⑦労働者派遣又は請負を行う事業主に係る留意事項──の7項目を掲げている。

主な改正内容としては、募集に関して、国外に居住する外国人労働者のあっせんを受ける場合には、外国人労働者と違約金または保証金の徴収等の契約を結ぶ職業紹介事業者等からあっせんを受けないことを挙げている。

また、労働契約を締結する際に、募集時に明示した事項を変更する場合は、変更点を対照できる書面の交付等が必要としている。その際、母国語や平易な日本語を使うなどして、外国人が変更内容を理解できるよう努めることを求めている。

適正な労働条件確保に関しては、労働契約締結時の労働条件の明示は、モデル労働条件通知書やモデル就業規則の活用、平易な日本語等を用いて説明する等の方法で行うよう努めるとしている。

また、賃金の支払いについて、①最低賃金額以上を支払うこと、②基本給、割増賃金等の賃金は、労使協定による賃金控除を除き全額を支払うこと、③労使協定に基づき食費、住居費等の控除を行う場合は、不当な控除額にならないようにすること、④強制貯金を行ってはならないこと──などを示している。

労働・社会保険の適用等に関しては、労働災害が発生した場合で、保険給付の請求その他の手続を外国人労働者やその家族等が自ら手続を行うことが困難な場合には、事業主は、その手続ができるよう必要な援助を行うよう努めることを求めている。

また、健康保険及び厚生年金保険の適用事業主は、外国人労働者が離職したときは、遅滞なく被保険者証を回収し、国民健康保険または国民年金の適用手続が必要な場合には、その旨を教示するよう努めるとしている。

このほか、外国人労働者の在留資格に応じて講ずべき必要な措置として、在留資格が「特定技能」の者については、事業主は、入管法の規定に基づく特定技能雇用契約の基準及び特定技能所属機関の基準に留意するとともに、1号特定技能外国人支援及び必要な届出等を適切に実施することを示している。

また、留学生に関して、留学生を採用する際には、当該留学生が在留資格の変更の許可を受ける必要があること、留学生をアルバイト等で雇用する場合には、資格外活動許可が必要であり、就労時間は原則として週28時間以内に制限されていることに留意するなどを挙げている。

なお、改正後の指針は一部を除き平成31年4月1日から適用される。