司法処分件数は5年ぶりに増加し896件
厚生労働省は、平成29年の送検事件の状況をまとめた。それによると、昨年1年間に労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの労働関係法令違反で司法処分(送検)した事件は896件で、前年(890件)と比べ6件(0.7%)の増加となり、5年ぶりの増加となった。違反法令別の送検件数は、労働基準法408件、労働安全衛生法474件、最低賃金法13件、じん肺法1件となっている。また、業種別にみた送検件数は、最も多いのは建設業の307件、次いで、製造業195件、商業79件、運輸交通業65件──の順となっている。
29年の送検件数を業種別にみると、例年と同様に建設業と製造業が突出しており、この2業種で全体の56%を占めている。送検件数が最も多いのは建設業で307件、以下、製造業195件、商業79件、運輸交通業65件、接客娯楽業59件、農・林業34件、保健衛生業33件、清掃・と畜業20件、教育・研究業14件──と続いている。
業種別(前出の9業種)の送検件数を前年と比べると、接客娯楽業(23件増)、農・林業(13件増)、保健衛生業(7件増)、商業(4件増)は増加、製造業(15件減)、清掃・と畜業(10件減)、建設業(2件減)、運輸交通業(1件減)、教育・研究業(1件減)は減少となった。
次に、違反法令別にみた送検件数は、労働基準法が408件で、前年(380件)と比べ28件(7.4%)増加している。
違反内容別では、賃金の支払(第24条、最低賃金法第4条)が222件と最も多く、以下、労働時間(第32条)96件、割増賃金(第37条)24件、労働条件の明示(第15条)15件、解雇の予告(第20条)10件、強制労働(第5条)6件、退職時等の証明(第22条)、労働基準監督官の権限(第101条)がともに5件、休憩(第34条)、法令等の周知義務(第106条)、賃金台帳(第108条)がともに3件──と続いている(1つの事件で複数の被疑条文がある場合には、主たる被疑条文により件数を計上。以下同じ)。
また、労働安全衛生法違反による送検は474件で、前年(497件)と比べ23件(4.6%)減少している。
違反内容別では、設備等(第20条)が159件と最も多く、以下、作業方法(第21条)125件、報告等(第100条)83件、就業制限(第61条)30件、注文者(第31条)23件、衛生関係(第22条)、安全衛生教育(第59条)がともに10件、作業主任者(第14条)9件、特定元方事業者等(第30条)8件──と続いている。
このほかに、最低賃金法違反による送検が13件(前年13件)、じん肺法違反による送検が1件(同0件)あった。なお、最低賃金法違反は、すべて法第4条の最低賃金の効力に関するもの、また、じん肺法違反は、法第7条の就業時健康診断に関するものとなった。