司法処分件数は4年連続減少し890件
厚生労働省は、平成28年の送検事件の状況をまとめた。それによると、昨年1年間に労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などの労働関係法令違反で司法処分(送検)した事件は890件で、前年(966件)と比べ76件(7.9%)の減少となり、4年連続の減少となった。違反法令別の送検件数は、労働基準法380件、労働安全衛生法497件、最低賃金法13件となっている。また、業種別にみた送検件数は、最も多いのは建設業の309件、次いで、製造業210件、商業75件、運輸交通業66件、接客・娯楽業36件──の順となっている。
28年の送検件数を業種別にみると、例年と同様に建設業と製造業が突出しており、この2業種で全体の6割近くを占めた。送検件数が最も多いのは建設業で309件、以下、製造業210件、商業75件、運輸交通業66件、接客娯楽業36件、清掃・と畜業30件、保健衛生業26件、農・林業21件、教育・研究業15件と続いている。
業種別(前出の9業種)の送検件数を前年と比べると、増加しているのは運輸交通業(7件増)と保健衛生業(14件増)の2業種のみで、他の業種はいずれも減少しており、建設業が27件減、製造業が31件減、商業が10件減、接客娯楽業が22件減、清掃・と畜業が3件減、農・林業が7件減、教育・研究業が4件減となった。
次に、違反法令別にみた送検件数は、労働基準法が380件で、前年(402件)と比べ22件(5.5%)減少している。
違反内容別では、賃金の支払(第24条、最低賃金法第4条)が185件と最も多く、以下、労働時間(第32条)95件、割増賃金(第37条)37件、解雇の予告(第20条)12件、休憩(第34条)6件、労働条件の明示(第15条)、年少者の危険有害業務の就業制限(第62条)がともに5件、中間搾取(第6条)、休業手当(第26条)がともに4件、年次有給休暇(第39条)、就業規則の作成及び届出の義務(第89条)、労働基準監督官の権限(第101条)がともに3件──と続いている(1つの事件で複数の被疑条文がある場合には、主たる被疑条文により件数を計上。以下同じ)。
また、労働安全衛生法違反による送検は497件で、前年(550件)と比べ53件(9.6%)減少した。
違反内容別では、設備等(第20条)、作業方法(第21条)がともに135件と最も多く、以下、報告等(第100条)86件、就業制限(第61条)35件、注文者(第31条)26件、作業主任者(第14条)17件、安全衛生教育(第59条)16件、衛生関係(第22条)、特定元方事業者等(第30条)がともに11件、健康診断(第66条)7件──と続いている。
このほかに、最低賃金法違反による送検が13件(前年14件)あった。その違反内容は、すべて法第4条の最低賃金の効力に関するものとなっている。